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Youth and Love    
  Songs of Travel
若者と愛  
     旅の歌

詩: スティーヴンソン (Robert Louis Balfour Stevenson,1850-1894) イギリス
    Songs of Travel and other verses 3 Youth and Love II

曲: ヴォーン=ウィリアムズ (Ralph Vaughan Williams,1872-1958) イギリス   歌詞言語: 英語


To the heart of youth the world is a highwayside.
Passing for ever,he fares; and on either hand,
Deep in the gardens golden pavilions hide,
Nestle in orchard bloom,and far on the level land
Call him with lighted lamp in the eventide.

Thick as stars at night when the moon is down,
Pleasures assail him. He to his nobler fate
Fares; and but waves a hand as he passes on,
Cries but a wayside word to her at the garden gate,
Sings but a boyish stave and his face is gone.

若者の心には この世界は高速道路の傍ら
永遠に通り過ぎながら旅行くが、その一方で世界は
庭の奥の黄金色の建物の中に隠れて
果樹園の花に身をうずめ、平地のはるか向こうで
夕暮れにランプを灯しながら彼を呼んでいる

月が沈む夜 星たちのように濃密に
快楽が彼に襲いかかるが、彼は自らのより高貴な運命に向かって
旅していく、通り過ぎながらただ手を振り
行きずりの一言だけを叫ぶ、庭園の門に立つ彼女に向って
ただ子供っぽい旋律を歌い、その顔は消えていくのだ


原詩集でもタイトルは”YOUTH AND LOVE: II”ということで、Tと並んで詩集の2・3番目に.ある詩です。この前にあるTの方の詩は歌曲集には取り上げられませんでしたが、「かつて庭の門のそばで ぼくたちは唇を重ねただけでお別れをした」と旅立ちの始まりを告げる詩になっています。そして歌曲集に取り上げられたこちらの方は旅に出てしまったことへの後悔と逡巡でしょうか。
世界は”a highwayside”である、という言い回しは面白いです。まだ自動車などなかった頃ですが、ここでのイメージはまさに高速道路をぶっとばす車にとっては、道端の景色などあっという間に消え去っていく幻影みたいなものなのだ、ということでしょう。しかし一方で夜休んでいる時には、頭の中に彼を引き戻そうとする力として、昔の思い出の形をして立ち現われて来るのですね。
音楽には第1曲の放浪のモチーフが第1節の「永遠に通り過ぎながら」のところなどにちらりちらりと現れたり、最後のところでは第3曲のメロディが効果的に織り込まれたりして歌曲集全体のつながりを意識させてくれます。

( 2008.09.15 藤井宏行 )


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