La farfalletta |
蝶々 |
Farfalletta,aspetta aspetta; non volar con tanta fretta. Far del mal non ti vogl’io; ferma,appaga il desir mio. Vo’ baciarti e il cibo darti, da perigli preservarti. Di cristallo stanza avrai E tranquilla ognorvivrai. L’ali aurate,screziate So che April t’ha ingemmate, che sei vaga,vispa e snella, fra tue eguali la più bella. Ma il crin d’oro ha il mio tesoro, il fanciul ch’amo e adoro. E a te pari vispo e snello Fra i suo’ eguali egli è il più bello. Vo’ carpirti,ad esso offrirti; Più che rose,gigli e mirti Ti fia caro il mio fanciullo, ed a lui sarai trastullo. Nell’aspetto e terso petto Rose,e gigli ha il mio diletto. Vieni,scampa da’ perigli, non cercar più rose e gigli. |
可愛い蝶々よ、止まれ、止まれ そんなに急いで、飛んでいくな お前を傷つけたくはないのだ 私の願いを聞いて止まれ キスをさせておくれ、食べ物をあげるから それに住むところもあげるから 水晶でできた家で 幸せに暮らせるように 光り輝く宝石のついた羽は 四月がお前に与えたものだね お前は美しく、輝かしく、軽やかだ お前の仲間たちの中でも一番 だが金色の髪をした私の宝物 愛する我が幼い息子も お前と同じように輝かしく、軽やかだ 仲間たちのうちで誰よりも美しいのだ お前を捕らえ、息子にやるのだ バラやミルテやユリよりも 息子はお前に優しいぞ 息子はお前と遊んでくれるぞ その顔や澄んだ胸の下に 愛する息子はバラやユリを持っているぞ さあ、危険なことはやめよ これ以上バラやユリを探すではないぞ |
ベルリーニというイタリアのオペラ作曲家は、何故か日本ではあまり人気がないような気がします。その辺はドニゼッティなども一緒なのですが、あれだけ素晴らしいメロディを書く人たちがどうして聴かれること少ないのか不思議に思ってしまいます。
まあロッシーニのように生理的快感をもたらしてくれる景気のよい音楽でもなく、ヴェルディのようにめくるめくドラマに心躍らされる訳でもなく、またプッチーニのようにひたすら情緒に浸り込むのでもなく、ただドラマとはあまり関係のない美しい歌が延々と続くというオペラのスタイルが、ワーグナーあたりの楽劇やフェルゼンシュタイン流の凝りに凝ったオペラ演出でオペラになじんだ人にはしっくり来ないということはあるのかも知れません。私も若いころはそうでした。
(あるいは音楽マスコミが一所懸命取り上げないからというだけの理由だけだったりして...)
そんなベルリーニの歌曲集ですが、私はオペラ以上に気に入りました。シンプルな旋律線ですが忘れ難い素敵なメロディは健在で、凝縮されたオペラを聴くような魅力に溢れています。私はよく歌われるイタリア古典歌曲(「アマリリ麗し」とか「カロ・ミオ・ベン」とか)がパッとしない旋律といいあまり好きではないので、どうしてこんな歌ばかりが持てはやされて、もっとベルリーニのような歌曲が歌われないのかと思うこともしばしばです。イタリア古典歌曲ファンの方御免なさい。
そんな訳?で、私が知る限りの唯一のベルリーニ歌曲集はCollinsレーベルから出ているイタリア歌曲集の第1巻、デニス・オニールのテノールのものです。
この「蝶々」という曲、同じ旋律が3番まで繰り返される単純な有節歌曲ですが、伴奏のリズムの元気の良さといい、また中間部で短調に転調して色彩感を豊かにしているところといい、ベルリーニ歌曲の特徴をうまく表しながら非常によくまとまっている曲です。詩は他愛もないもので、親馬鹿の極みのように感じられなくもありませんが曲のシンプルさにぴったりの雰囲気で、訳しながらなるほどこれはいいと思ってしまいました。
( 2000.02.13 藤井宏行 )