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Moja balovnitsa   Op.27-6  
  6 Romansov i pesen
ぼくの甘えん坊ちゃん  
     6つのロマンスと歌

詩: メイ (Lev Aleksandrovich Mei,1822-1862) ロシア
      Moja pieszczotka 原詩: Adam Mickiewicz ミツキィェーヴィチ

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Moja balovnitsa,otdavshis’ vesel’ju,
Zal’etsja,kak ptichka,serebrjanoj trel’ju,
Kak ptichka,nachnet shchebetat’,lepetat’,
Tak milo nachnet lepetat’,shchebetat’,
Chto dazhe dykhan’em bojus’ ja narushit’
Garmoniju sladkuju devstvennykh slov,
I tselye dni,i vsju zhizn’ ja gotov
Krasavitsu slushat’,i slushat’,i slushat’,i slushat’,slushat’!

Kogda zh zhivost’ rechi ej glazki zazhzhet
I shcheki sil’nee rumjanit’ nachnet,
Kogda pri ulybke,skvoz’ alye guby,
Kak perly v korallakh,blesnut ee zuby,
O,v eti minuty ja smelo opjat’
Gljazhusja ej v ochi i zhdu potseluja,
I bolee slushat’ ee ne khochu ja,
A vse tselovat’,tselovat’,tselovat’,tselovat’!

Moju balovnitsu vsju zhizn’ ja gotov
tselovat’,tselovat’,tselovat’.

ぼくの甘えん坊ちゃんが幸せそうに
鳥みたいに喋りだす、銀色のさえずりで
鳥がピーピー・チュンチュンとささやくみたいに
とても優しく チュンチュン・ピーピーと喋りだすと
ぼくは息を止めて聞き漏らすまいとするのさ
乙女らしい甘い言葉のハーモニーを
一日中でも、一生でもかまわない
ただひたすら聴くんだ、聴くんだ、聴くんだ

そしてお喋りが盛り上がって 彼女の瞳が輝き
ほっぺが思い切り赤くなってきたら
彼女が笑い、彼女の真っ赤なくちびるから
サンゴ礁の真珠のような真っ白な歯が顔を出したら
ああ、そんな時には、ぼくはまた大胆になって
彼女の瞳を見つめて、キスができるのを待つんだ
もう彼女のお喋りなんか聞いてる場合じゃない
ただキスをしたいんだ、したいんだ、したいんだ

ぼくの甘えん坊ちゃんと一生ずっと
キスをしたいんだ、したいんだ、したいんだ


人気のない歌曲集Op.27からも一曲と思ったのですが、ひとしきり聴いてもなかなか心に響く曲はありません。中ではこの曲が歌詞も興味深く、また聴いていても楽しかったのでアップすることにしました。この詩、もともとはポーランドの国民的詩人、アダム・ミツキィェーヴィチの作品で、19世紀には大ヒットしたものなのだそうです。原詩にはあのショパンのつけた歌曲もありますし、S.ゴリツィーンの訳詞につけたグリンカの作品はこちら( 彼女へ (ミハイル・グリンカ))でも取り上げています。
チャイコフスキーのつけたロシア語詞は、ロシア歌曲ではおなじみのレフ・メイによるもの。この同じ訳詞でキュイやリムスキー=コルサコフのつけた歌曲もあるのだそうです(キュイはあまりこのメイの訳が気に入らなかったようでかなり自分で手を入れているのだそうですが)。このロシア語訳はかなりグリンカが曲をつけたゴリツィーンのものよりもくだけた感じですが、ポーランド語のニュアンスは分かりませんけれども原詩もこちらにより近い雰囲気のように思われます。
そしてこれにチャイコフスキーがつけたメロディも原詩の作詞者に敬意を表してかポーランドの民族舞曲マズルカのリズム。お得意のバレエ音楽を思わせるような壮麗な盛り上がりは詞に比べて少々大柄な感じもしなくもありませんが微笑ましく楽しいです。
バスのレイフェルクスが歌っているConiferレーベルの歌曲全集の中にある録音が素晴らしかったです。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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