Primiren’e Op.25-1 6 Romansov |
あきらめ 6つのロマンス |
O,zasni,moe serdtse,gluboko! Ne budi: - ne probudish’,chto bylo, Ne zovi,chto umchalos’ daleko, Ne ljubi,chto ty prezhde ljubilo... Pust’ nadezhdoj i lzhivoj mechtoj Ne smutitsja tvoj son i pokoj! Dlja tebja nevozvratno byloe, Na grjadushchee net upovan’ja... Ty ne znalo v blazhenstve pokoja, Uspokojsja zh na lozhe stradan’ja, I starajsja ne pomnit’ zimoj, Kak sryvalo ty rozy vesnoj! O,zasni,moe serdtse,gluboko! Ne budi: - ne probudish’,chto bylo, Ne zovi,chto umchalos’ daleko, Ne ljubi,chto ty prezhde ljubilo... Pust’ nadezhdoj i lzhivoj mechtoj Ne smutitsja tvoj son i pokoj! Ne smutitsja tvoj son i pokoj! I starajsja ne pomnit’ zimoj, Kak sryvalo ty rozy vesnoj! |
おお、眠りなさい、私の心よ、深く! 決してしようとしてはならぬ-目覚めさせようとしてはならぬ、過去のことなど 呼び戻してはならぬ、遠く過ぎ去ったものを 愛してはならぬ、かつて愛していたものを... 誤った希望や夢が お前の眠りや安息を乱すことがないように! お前に過去が戻ってこないのだから 未来に希望を求めても詮無いこと お前は至福の中に安息を見出せなかった 今の苦しみを直視して心を平静にせよ そして冬に思い出さないようにするのだ お前が春にどうやってバラを摘んだかなどということは! おお、眠りなさい、私の心よ、深く! 決してしようとしてはならぬ-目覚めさせようとしてはならぬ、過去のことなど 呼び戻してはならぬ、遠く過ぎ去ったものを 愛してはならぬ、かつて愛していたものを... 誤った希望や夢が お前の眠りや安息を乱すことがないように! お前の眠りや安息を乱すことがないように! そして冬に思い出さないようにするのだ お前が春にどうやってバラを摘んだかなどということは! |
1875年はチャイコフスキーにとって歌曲の年というくらいにたくさんの歌曲を書いた年でした。この曲「あきらめ」を含む6曲のOp.25、あまり人気曲はないですがこちらも6曲からなるOp.27、そして自作の詞がユニークな「恐ろしい瞬間」を含む6曲のOp.28の3つの歌曲集がこの年ですし、他にも作品番号のない歌曲が2曲ほどあり、全部で20曲がこの年の作品です。中では断トツでこのOp.25が人気曲を集めていますが、確かに個性的な作品がこの歌曲集には揃っています。
なかでもこの曲は一番良く歌われる人気曲でしょうか。「和解」や「諦念」などの難しい題名がついていることが多いですが、この原題Primiren'eは、対立する問題に対してなんとか折り合いをつける、というニュアンスの言葉のようです。詩の内容もそんな感じですね。言葉を迷った末にタイトルは「諦念」よりはもう少しくだけた「あきらめ」ということにしました。音楽はチャイコフスキーの暗い系のメロディの典型のようなものなので私は今まであまり聴かなかったのですが、詩に凄みがあるのでけっこう対訳を見ながら聴くと痺れてしまいました。特に原詩にない繰り返しの部分で、最後に「お前の眠りや安息を乱すことがないように!」で目一杯盛り上げてから、2番の最後のフレーズ「そして冬に思い出さないようにするのだ」をぽつりと吐き捨てるところなど本当に良くできていると思います。
男女共に良く歌われるようですが、この情念は女性が歌っている方が私にはぴったり来ているように思われます。入手が容易な音源ではボロディナのものあたりが強烈でしょうか。
( 2008.08.01 藤井宏行 )