Ne ver',moj drug Op.6-1 6 Romansov |
信じないで、恋人よ 6つのロマンス |
Ne ver',moj drug,kogda v poryve gorja Ja govorju,chto razljubil tebja! V otliva chas ne ver’ izmene morja, Ono k zemle vorotitsja,ljubja. Uzh ja toskuju,prezhnej strasti polnyj, Svoju svobodu vnov’ tebe otdam. I uzh begut obratno s shumom volny Izdaleka k ljubimym beregam. |
信じないで、恋人よ、悲しみのあまりに 私があなたを嫌いだと言ったことを! 潮が引くときに、海が裏切ったなどとは信じないで 潮はまた満ちてくるわ、愛と共に 今私は悲しい、かつての情熱に満たされて 私の自由をもう一度あなたにあげる 今確かにざわめく波が戻ってくるの 遠くから愛する岸辺に向かって |
ちょっとこの内容をこんな感じで女性っぽい喋りに訳してしまうと一部の筋のお叱りを受けてしまうかも知れませんが、この詩を読んで見てイメージしたのはニッポンの演歌のワンシーン、とくれば私が訳詞をやるとどうしてもこんな感じになってしまいます。なんだか西川峰子が歌っているような雰囲気ですね。曲はそれほど演歌チャンチャカチャンではありませんがやはり暗いです。しっとりと粘着してくる感じの音楽は癖になるかも。
チャイコフスキーの作品番号の付いた中では記念すべき一番最初の歌曲集(1869)の第1曲、詩人はチャイコフスキーがこのあとも驚くほどたくさんの詩を歌曲に取り上げており、彼の歌曲の代表作に挙げられている幾多の作品に貢献しているアレクセイ・トルストイ、ここでもテーマ設定といい言葉の選び方といい実にうまい、と感動させられます。
初期の作品集としては「ただ憧れを知るものだけが」をはじめとして取り上げられる曲の多いこの作品6ですが、この曲はそれほど取り上げられる頻度は多くないでしょうか。
( 2008.08.01 藤井宏行 )