I saw my Ladye weepe The Second Book of Songes |
私の恋人が泣くのを見た 歌の本第2 |
I saw my lady weep, And Sorrow proud to be advanced so, In those fair eyes where all perfections keep, Her face was full of woe; But such a woe (believe me) as wins more hearts, Than Mirth can do with her enticing parts. Sorrow was there made fair, And Passion wise,tears a delightful thing, Silence beyond all speech a wisdom rare, She made her sighs to sing, And all things with so sweet a sadness move, As made my heart at once both grieve and love. O fairer than aught else, The world can show,leave off in time to grieve, Enough,enough,your joyful looks excels, Tears kills the heart. O strive not to be excellent in woe, Which only breeds your beauty's overthrow. |
私の恋人が泣くのを見た 悲しみは、あの完璧な美しさの目に 宿る栄誉を得たのだ 彼女の顔は悲しみに満ちていたが それは実にいかなる喜びよりも 魅力的であったと言えよう 悲しみも、そこにおいては美となり 情熱は賢明に、涙は快いものに、 沈黙は言葉に優る知恵に、 溜息は歌になり つまりは全てが甘美な悲哀となって 私の心を悲しみと愛に作り変えるのだ おお、それはこの世で見る事が出来る何よりも美しい だが、時が来たら嘆くのはやめるのだ もう十分だ、貴女の喜びの方が素晴らしい 涙は心を傷つけ殺すもの おお、悲哀で人に秀でようとしてはならぬ 悲しみはついには貴女の美を壊してしまうのだから |
シェークスピアと同時代のイギリスの作曲家ダウランドは、素晴らしいリュー
ト(伴奏)歌曲をたくさん残しています。英語詩による古雅な歌は大変魅力
的です。
波多野睦美(メゾ)&つのだたかし(リュート)(PARDON:TH4628)
ナイジェル・ロジャース(テノール)&ポール・オデット(リュート)(ヴァージン)
エマ・カークビー(ソプラノ)&A.ルーリー(リュート)(オワゾリール)
エマ・カークビー、デヴィッド・トーマス(バス)&A.ルーリー(リュート)(オワゾリール)
1枚物のダウランド歌曲集で好きなのが波多野睦美盤。翳りのある柔らか
いメゾソプラノで素直に歌っています。リュート・ソロ曲も交えての演奏。ベ
テランのロジャースは男の哀愁漂う歌いくち。オワゾリールの全集における
カークビーの透明な声の美しさ。しかし、バスのトーマスが低音部を歌って
いるのが余計。幸い補遺の方にソロの録音が入っている。しかしわたしは全
集で他の曲を歌っているテノールのマーティン・ヒルが大好きなので、彼に
も歌って欲しかった。ヒルが主要曲を歌ったアルバムってありませんか?
( 1998.08.05 甲斐貴也 )