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太陽の旗    
 
 
    

詩: 林 光 (Hayashi Hikaru,1931-2012) 日本
      

曲: 林光 (Hayashi Hikaru,1931-2012) 日本   歌詞言語: 日本語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください


この時期にご紹介すると政治的な意図を勘ぐられそうな歌ですが、これは太平洋戦争を皮肉った反戦歌です(この時期でなくても聴けばすぐわかるが...)。
万葉歌人・大伴家持の長歌「海ゆかば 水つくかばね 山ゆかば 草むすかばね」に信時潔が曲を付けた「海ゆかば」をパロディにして、この大戦で死んでいった多くの兵士達の無念さを歌います。詩ではこのパロディはじめ痛烈なフレーズがそこかしこにあるのですが、かなりエグイ内容なのでここに書くのは遠慮します。興味のある方は聴いてみて下さい。林光氏の反骨精神溢れるたいへんインパクトのある作品です。
「海ゆかば」の曲想を思い切り明るく、威勢良くもじったところに逆に底知れぬ悲しみを感じてしまいます。ピアノの共鳴版を叩いていると思われる打楽器のような音も混じった伴奏が不思議な効果です。
林氏が主催しているオペラ「こんにゃく座」の歌手、竹田恵子さんが録音した「私が歌う理由・赤電車/林光歌曲集」(ALM・コジマ録音)の中で、こんにゃく座の歌芝居の挿入歌に混じって収録されています。このCDの中で他に収録されている連作歌曲集「赤電車」は、ヤナーチェクの歌曲集「消えた男の日記」に触発されて、戦時中に疎開した男子中学生と戦争未亡人とのひと夏の危ない関係が描かれる野心作です。
昭和20年8月15日に絡めて、現実と幻想の世界が交錯しながら展開します。
ヤナーチェク並みに成功しているかどうかはこれも聴いてのお楽しみということで...

( 2003.08.05 藤井宏行 )


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