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El' i pal'ma   Op.3-1  
  Chetyre romansa
樅の木と棕櫚  
     4つのロマンス

詩: ミハイロフ (Mikhail Larionovich Mikhailov,1829-1865) ロシア
      Ein Fichtenbaum steht einsam 原詩: Heinrich Heine ハイネ,Buch der Lieder - Lyrisches Intermezzo(歌の本-抒情小曲集)

曲: リムスキー=コルサコフ (Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov,1844-1908) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Na severnom golom utese
stoit odinokaja el’.
Ej dremletsja. Sonnuju snezhnym
pokrovom odela metel’.

I eli mereshchitsja pal’ma,
chto v dal’nej vostochnoj zemle
odna molchalivo toskuet
na znoem sozhzhennoj skale.

北国の荒れ果てた崖の上に
一本の樅の木が孤独に立っている
木はまどろむ。その夢見る者を雪で
吹雪が覆い尽くした

樅の木は棕櫚のことを夢に見ている
はるか東の国にあって
ひとり黙って
焼け付く岩の上で耐えている棕櫚を


ハイネの良く知られた詩で、ドイツの作曲家も良く歌曲にしています。このサイトでは甲斐さんが 唐檜と棕櫚 (ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーン)で取り上げられています。こちらはミハイル・ミハイロフによるロシア語の詩につけたもの。何となく原詩よりも重たく壮烈なものになったように感じるのは考えすぎでしょうか。そしてこれにリムスキー=コルサコフがつけた音楽はこの時期の彼の歌曲によく見られるオリエンタルな響き。何とも不思議な仕上がりです。
バスのボリス・クリストフが歌っている録音(EMI・伴奏はアンドレ・クリュイタンス指揮のパリ音楽院管)では、オーケストラの濃密な響きが彼の傑作管弦楽曲「シェエラザード」の第一楽章を連想させられるようなもので非常に面白かったです。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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