Kozel |
牡山羊 |
Shla devitsa proguljat’sja,na luzhek pokrasovat’sja, Vdrug navstrechu ej kozel! Staryj,grjaznyj,borodatyj, Strashnyj,zloj i ves’ mokhnatyj,sushchij chort! I devitsa ispugalas’, Ot kozla begom pomchalas’ prjamo v kust, I pritailas’, Ele dyshet,chut’ zhiva. Shla devitsa pod venets, Znat’ prishla pora ej zamuzh,nu i vyshla! Muzh i staryj i gorbatyj, Lysyj,zloj i borodatyj,sushchij chort. Chto-zh,devitsa ispugalas’? Gm! Kak zhe! Ona k muzhu prilaskalas’, Uverjala,chto verna,gm! chto v muzha vljublena, Chto primernaja zhena. |
若い娘がお散歩に 野原をぶらぶらしてると とつぜん 彼女に向かってきたのは牡山羊! 歳取って、汚くて、ヒゲ面で 恐ろしい、悪魔のような毛むくじゃらの だから娘はびっくりして 山羊から逃げようと駆け出して茂みの中へ一直線 そして隠れたよ 息も出来ずに、生きた心地もせず 若い娘は冠を授かり 結婚の適齢となったのを知った、そしてやってきたのは何と! 花婿殿は年寄りで猫背 禿げて悪魔のようなヒゲ面 もちろん娘はおびえたかって? フム!そんなことはない! 彼女は花婿殿に身を寄せて 貞節を誓いますだとさ、フム!旦那様を心より愛します 貞淑な妻になりますだとさ |
ムソルグスキー中期には、この曲だけでなく「キノコ狩り」や「古典主義者」「神学生」など世の中を風刺した面白い作品がいくつもありますが、その中でもこの曲が一番多く取り上げられますでしょうか。「一応」清楚な乙女の可憐なメロディと、牡山羊のグロテスクなメロディとが交互に現れてとても不思議な歌です。芸達者な昔の歌手はきっとこういうのを愛唱していたのでしょう。ボリス・クリストフの歌など惚れ惚れとして聴かされてしまいます。
( 2008.08.01 藤井宏行 )