Evrejskaja pesnja |
ヘブライの歌 |
Ja tsvetok polevoj,ja lilija dolin! Golubitsa moja belolonnaja, Mezhdu junykh podrug,slovno v ternii krin. Golubitsa moja belolonnaja! Slovno mirta v tsvetu blagovonnaja Mezh besplodnykh derev’ev lesnykh milyj moj, Mezh druzej molodykh,mezh druzej molodykh, Gde ty,milyj moj,krasavets moj? |
私は野の花、谷間に咲くユリ 私の白い胸の鳩は、 若い女友達に囲まれて、まるで茨の中のユリのよう 私の白い胸の鳩は まるで色づいて咲き誇るミルテの花のよう 荒れ果てた森の木の中に咲いている 若い男友達の中で、若い男友達の中で あなたはどこにいるの、私の愛しい人は? |
いまひとつ歌詞の意味が取りにくい歌ですが、これは詩人のメイが旧約聖書・雅歌の第2章を下敷きにして書いているためのようです。この聖書の詩句は「シャロンの薔薇」で検索して頂くとすぐヒットするような有名なものです。古い日本語訳では「われはシャロンの野花」とされており、こちらも有名な詩句のようでこれで検索されてもけっこうヒットします。聖書の文句の転載はけっこう著作権がうるさいので(まだ切れていないんですね...)、ご興味のおありの方はご自分で検索ください。要は私は目立たない野の花で、あの人は華やかなスター、でも忘れられない...といった感じの歌なのでしょうか。読んでみた印象ではこの詩人メイが手を入れたものよりも、もとの旧約聖書の中にあるものの方が数段なまめかしく美しく感じられるのが興味深いところです。旧約聖書にありながらこの雅歌の章は男女の恋を大胆に詩にしていてとても宗教の聖典の一部とは思えないほどですけれども、逆にそんな風に2千年以上も昔のものが現在に残るくらい良くできた恋愛詩であるということも言えるのかも知れません。
ムソルグスキーの付けた音楽はしみじみと重々しいもの。まあベタベタのラブロマンスなんかはあんまり似合わない作風の人ですので、ラフマニノフ風の甘美なロマンスを期待する方が間違いではあります。
( 2008.08.01 藤井宏行 )