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Dedushka! -devitsy raz mne govorili    
 
「おじいちゃん!」-と娘たちはわしにある日こう言った  
    

詩: デリヴィク (Anton Delvig,1798-1831) ロシア
      Песня (1820)

曲: グリンカ (Michael Glinka,1804-1857) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Dedushka! - devitsy
Raz mne govorili,-
Net li nebylitsy
Il’ starinnoj byli?

Kak ne byt’!
Unylo krasnym otvechal ja,
Serdtse vas ljubilo,
Tak chego ne znal ja!

Bylo vremja! Gde vy,
Gody zolotye?
Kak plenjali devy
V nashi dni bylye!

Uzh oni starushki,
No ot nikh poroju
Mnogo na podushki
Slez prolito mnoju.

Dushu volnovali
Ikh usta i ochi,
Po ognju bezhali
Dni moi i nochi.

Dedushka! tolpoju
Devitsy vskrichali,-
Zhal’ nam,a toboju
Babushki igrali!

Kak ne stydno! Zlye
Vot nad nim plutili!
Net,my ne takie,
My b tebja ljubili!

- Vy b ljubili? Skazki!
Very mne nejmetsja! -
I na nashi laski
Dedushka smeetsja.


「おじいちゃん!」---と娘たちは 
わしにある日こう言った---
「おとぎ話じゃなくて 
何か昔の面白いお話はない?」 
 
「ないわけなかろうが」
面倒くさげにわしは彼女らに答えた
「心は恋で一杯だったさ
わしもそうだと分かっていた!
 
そんな頃があったのさ!おまえたちがそうみたいに
わしにもそんな素晴らしいときがな!
乙女たちに心奪われていたんだ
そいつはとうの昔だがな!

今やその乙女たちもバアサンだ
だがあの頃にゃわしも彼女たちを想って
枕の上にかぶさって
涙にくれていたもんさ

心は惹きつけられていた
彼女たちの口に 瞳に
想いは火と燃えとった
昼も夜も」

「おじいちゃん!」---口を揃えて 
娘たちは叫んだ---
かわいそうだわ、おじいちゃんを 
おばあちゃんたちはからかったのね! 
 
はずかしくないのかしら!ヒッドーイ 
おじいちゃんをだましたのよ!
いいえ、あたしたちはそんなんじゃないわ、 
あたしたちならきっとおじいちゃんを愛していたはずよ!」 
 
「おまえたちなら愛していたって?んなわけなかろう! 
信じられんな!」 
私たちのお愛想に 
おじいちゃんは笑ってる。


民謡風の素朴な詩をたくさん書いたデルヴィーグの、これまた何とも言えない味のある詩です。原題は「ロマンス」というようですが、グリンカの歌曲では詩の最初の一節がタイトルになって呼ばれているようです。そしてグリンカのつけた曲も「一週間」とか「カリンカ」を連想させる民謡風のなんとも素朴なもの。祖父と孫娘たちの微笑ましい会話はちょっと日本ではあり得ないような内容かも知れませんが(こんな話をおじいさんがしたら孫娘たちがドン引きしそうな内容...)、クリストフなどの渋い歌で聴くと実にいいですね。

( 2008.08.01 藤井宏行 )


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