My otdokhnem Op.26-3 Pjatnadtsat’ romansov |
一息つけるでしょう 15のロマンス |
My otdokhnem! My uslyshim angelov, My uvidim vse nebo v almazakh, My uvidim,kak vse zlo zemnoe, Vse nashi stradanija potonut v miloserdii, Kotoroe napolnit soboju ves’ mir, I nasha zhizn’ stanet tikhoju, nezhnoju,sladkoju,kak laska. Ja veruju,veruju... My otdokhnem... My otdokhnem. |
一息つけるでしょう、天使の声が聞こえるでしょう 空にダイヤモンドの輝きが見えるでしょう この世のすべての悪しきものが すべての苦しみがお慈悲によって打ち払われるのが見えるでしょう この世界すべてに満ち溢れているお慈悲によって そして私たちの生活は静かになるでしょう 穏やかで、心地よい、優しく撫でてくれるものに 私は信じています、信じて... 一息つけるでしょう...一息つけるでしょう |
チェーホフの傑作戯曲のひとつとして知られる「ワーニャ伯父さん」、その終幕の大詰めに医師アーストロフへのひそかな恋が破れた娘ワーニャが、やはり今まで打ち込んできたことが無為であったことに気付かされて思い切り打ちのめされた主人公ワーニャを慰めながら、それでもなおこの人生をしっかりと生きていこうと語る台詞です。
チェーホフの戯曲はシェイクスピアのもののように歌を劇の間に散りばめることがないからでしょうか、ほとんど歌曲にはなっていないようでこれは非常に珍しい作品です。音楽は暗く重々しく、彼の傑作歌曲群の中にあってはそれほど印象的なものでもないのですが、詩の作者が非常に興味深いこともありここでは取り上げてみました。
作曲年が1906年ということでチェーホフの没した年の2年後。恐らく作曲者はこの劇作家への追悼としてこの歌曲を書いたのでしょうか。ラフマニノフもこの劇作家とは個人的な交流があったようですので。
( 2008.08.01 藤井宏行 )