Ikalos’ li tebe,Natasha |
君はしゃっくりをしたのかい ナターシャよ |
Ikalos’ li tebe,Natasha, Kogda shampanskoe ja pil Razlichnykh vkusov,svojstv i vidov, Razluchnykh vozrastov i sil Kogda v voronezhskikh podvalakh Ja zhadno pominal tebja, Ljubja Natashu,poetessu Da i shampanskoe ljubja Zdes’ b’et kastal’skij kljuch, Pitaja nebasnoslovnoju struej; Poezija zdes’ veshch’ ruchnaja; Pjat’ frankov daj i pej,i poj |
君はしゃっくりをしたのかい ナターシャよ ぼくがシャンペンを飲んでいたときに いろんな味や品質や種類の いろんなヴィンテージや強さのを ヴォロネジの地下の酒蔵で ぼくは君のことを思っていた 愛するナターシャ、詩の女神 もちろんシャンペンも愛でいたけれど ここにはカスタリアの泉が湧いていて そいつを腹一杯に飲めるんだ だから詩もここでは従順なもの たった5フランで飲んで、おまけに歌えるのさ |
作品番号のない歌曲ですが、ラフマニノフには珍しいユーモアに溢れた曲ということもあってけっこう取り上げられるようです。交響曲第1番の初演の失敗でノイローゼのようになっていた作曲者を支えた妻ナターシャに捧げる歌ということでかなりプライヴェートな作品、もとのヴァーゼムスキーの詩に作曲者が多少手を入れているとのことですがその詳細は分かりませんでした。ロシアでは誰かに想われているとシャックリをするのだ、という言い伝えがあるのだそうで、ここでは主人公が酒場で想いをふと寄せたナターシャがきっとシャックリをしたに違いない、という愛のメッセージを軽妙なメロディとともに歌います。最後の“i pej”ところで酔っ払いのシャックリが入るのですが、ゼーダーシュトレームの歌った歌曲全集(Decca)での録音ではそこが絶妙でなかなか楽しい仕上がりでした。とても楽しい曲です。
( 2008.08.01 藤井宏行 )