Ostrovok Op.14-2 Dvenadtsat’ romansov |
小島 12のロマンス |
Iz morja smotrit ostrovok, Ego zelenye uklony Ukrasil trav gustykh venok, Fialki,anemony. Nad nim spletajutsja listy, Vokrug nego chut’ pleshchut volny. Derev’ja grustny,kak mechty, Kak statui,bezmolvny. Zdes’ ele dyshit veterok, Sjuda groza ne doletaet, I bezmjatezhnyj ostrovok Vse dremlet,zasypaet. |
海の上に小島がある 緑におおわれた 豊かな草が大地を彩り スミレやアネモネが咲く... 島の上の方にはとりどりの森 島の周りには穏やかに寄せる波 悲しげな木々は、夢見ながら 彫像のように立ち尽くす ここではそよ風さえほとんど吹かず 嵐がやってくることはない 静寂の島だ すべてがまどろみ、眠っている |
イギリスの詩人P.B.シェリーの詩「The isle」をコンスタンティン・バリモントがロシア語に訳したものにここでは曲が付けられています。原詩もありましたので下に載せておきましたが、ここで描写されているのは現実にはどこにも存在しないパラダイスの情景のようですね。ラフマニノフの音楽も「ここは素敵」や「ライラック」のように楚々とした穏やかな音楽をつけましたので、非常に幻想的なものとなりました。夢の中の情景をしみじみ語るような静謐さがこの曲を魅力的なものにしています。「春のせせらぎ」以外はあまり取り上げられる曲の多くない作品14の12曲の中にあって、この曲はそれでもこだわって取り上げられる方がそれなりにある作品のようです。
The isle
There was a little lawny islet
By anemone and violet,
Like mosaic paven:
And its roof was flowers and leaves
Which the summer's breath enweaves,
Where nor sun nor showers nor breeze
Pierce the pines and tallest trees,
Each a gem engraves; -
Girt by many an azure wave
With which the clouds and mountains pave
A lake's blue chasm.
( 2008.08.01 藤井宏行 )