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Marechiare    
 
マレキアーレ  
    

詩: ディ・ジャコモ (Salvatore Di Giacomo,1860-1934) イタリア
      

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Quanno spònta la luna a Marechiare,
pure li pisce nce fanno a ll'ammore...
Se revòtano ll'onne de lu mare:
pè la prièzza càgnano culore...
Quanno sponta la luna a Marechiare

A Marechiare ce sta na fenesta:
la passiona mia ce tuzzulèa...
Nu garofano addora 'int'a na testa,
passa ll'acqua pè sotto e murmulèa...
A Marechiare ce sta na fenesta....

Chi dice ca li stelle sò lucente,
nun sape st'uocchie ca tu tiene 'nfronte!
Sti ddoje stelle li ssaccio ì sulamente:
dint'a lu core ne tengo li ppònte...
Chi dice ca li stelle sò lucente?

Scètate,Carulì,ca ll'aria è doce...
quanno maje tantu tiempo aggìaspettato?!
P'accumpagnà li suone cu la voce,
stasera na chitarra aggio purtato...
Scètate,Carulì,ca ll'aria è doce!...

月がのぼるとき このマレキアーレに
魚たちでさえも恋におちる
海の波もざわめいて
喜びのあまり色が変わる
月がのぼるとき このマレキアーレに

このマレキアーレでは とあるバルコニーに向けて
俺の情熱は 燃え上がるのだ
カーネーションが窓辺には香り
水がその下を流れ ささやいている
このマレキアーレでは とあるバルコニーに向け

星がとても輝かしいなんて言ってる奴は
お前の顔にある瞳の輝きを見たことがないのだろう
そのふたつの星のことは 俺だけが知っていて
そこから苦しみが この心へと刺さってくるのだ
誰だ星がとても輝かしいなんて言ってる奴は?

目覚めてくれよ カルーリ ここの空気はさわやかだ
こんなに長いこと待ったことが今まであっただろうか?
この声に伴奏させようと
今夜はギターを持ってきたぜ
目覚めてくれよ カルーリ ここの空気はさわやかだ


マレキアーレというのはナポリ近郊の海岸リゾート、東京のイメージでいうとサザン・オールスターズが盛んに歌っていた湘南といったところでしょうか。荒々しささえも感じさせる激しくも情熱的なセレナーデです。
あまりに民謡風の音楽のためか、ナポリ民謡として作者名も出さずに紹介されることもよくあります。そのあたりはやはり作者の分かっている「フニクリ・フニクラ」や「帰れソレントへ」などと同様の扱いですね。
まあそれだけ多くの人に愛されてきた音楽だということでもあるのだと思いますが。
また民謡らしいと言えばこの歌、訳そうと思って色々調べてみると、結構歌詞にブレがあり、どれがオリジナルなのか良く分からないところもあります。ジーリやスキーパなど往年の名歌手たちが良く歌っていることから、恐らくこれが原詞だろうというものを選んで訳詞をつけました。オリジナルはナポリの方言で書かれているはずですが、歌手の中でも標準イタリア語に訳したものを歌う人がちらほら居られるのがたぶん歌詞のブレの原因なのだと思います。私のようにイタリア語がろくすっぽ分からないと、そのあたりの経緯や機微がまるで見えないのが途方に暮れる原因なのでしょう。一部の歌詞の中では「カルーリ」という彼女への呼びかけさえなくなっているものもありました。

( 2007.12.30 藤井宏行 )


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