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木犀 四つの抒情歌 |
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羽白き鳳に うちのりて 紫の 昌玉の門ちかく とび来ぬと 目ざむれば おばしまにただひとり わが酔いはさめはてぬ 庭ひろき宵闇に 木犀の香りのみ いと高く流れたり |
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この人もまた日本の歌曲の上からはそれほど重要ではないのかも知れませんが、何とも捨てがたい魅力的な作品をいくつも残しています。まだ２０歳になる前にいくつも書いた歌曲作品はとりわけ美しく心に響いてきます。彼の代表的作品である歌曲群は三好達治の詩によるもので20代の意気盛んなころに書かれ、実に繊細な美しさに満ちておりますが、ご紹介するのはそれよりも少し前に書かれた石川啄木の詩につけたこの曲。音楽の雰囲気は日本のレイナルド・アーンといった感じが濃厚にするひたすらに美しい曲です。そう言えばアーンも１０代のころから名曲をいくつも世に出していましたね。
鮫島有美子さんが1989年に彼の歌曲だけを集めてCDを出しています。ほとんど唯一の聴ける機会だと思うのですが今やこれも入手は難しいでしょうか。
亡くなった作曲家が時と共に忘れ去られていくのは避けがたい世のならいなのかも知れないですね。
( 2007.12.16 藤井宏行 ）