Ljubov’ Op.145-3 Sjuita na slova Mikelandzhelo Buonarroti |
愛 ミケランジェロの詩による組曲 |
Dimmi di grazia,amor,se gli occhi i mei veggono 'l ver della beltà ch'aspiro, o s'io l'ho dentro allor che,dov' io miro, veggio più bello el viso di costei. Tu 'l de' saper,po' che tu vien con lei a torm' ogni mie pace,ond' io m'adiro: Nè vorre' manco un minimo sospiro, nè men ardente foco chiederei. La beltà che tu vedi è ben da quella; ma crescie poi ch'a miglior loco sale, se per gli occhi mortali all' alma corre. Quivi si fa divina,onesta e bella, com' a sè simil vuol cosa immortale: Questa,e non quella,a gli occhi tuo' precorre. |
教えてくれ、愛よ、ぼくの目が ぼくが渇望している美しさを本当に見ているのか それともその美しさはぼくの中にあって それで彼女の姿がより一層美しく見えるのかを お前は知っているんだろう 彼女をぼくのところに連れてきて ぼくの安らぎを乱し ぼくを苦しめるお前なら それでもぼくはこの溜息をなくしてしまいたいとは思わない この燃え盛る炎から逃れようとも お前が見ている美しさは確かに彼女のものだ だがそれは天の高みに昇るほどに輝きを増し この死すべき瞳を通して魂に突き刺さってくる そこではそれは神のものとして真実かつ美しく あたかも永遠の命を得たかのようだ お前が目の前にしているのはまさにそれなのだ |
これは恋の歌の形を取ってはおりますが、私には「美」のあり方を思索する哲学的な詩のように思えます。これも想いに耽るかのような静かな音楽。伴奏の早いパッセージが絡みつくように流れるのが面白いです。管弦楽伴奏の版ではこれを木管楽器にやらせていて非常にユニークな響きになっています。この詩は私のロシア語の理解力ではロシア語詩の方はさっぱりわけがわからず、イタリア語からの正しい翻訳になっているのかどうかすら分かりませんでした。もっとも私のイタリア語からの訳もちゃんとできているかどうかは甚だ怪しいのではありますが。でもまあ言っていることの脈絡だけは通るようにしておきました。本当にミケランジェロがこう言っているのかどうかはともかくとして...
これはPetrarchianとあり、1529年の詩だそうです。ペトラルカ風ということでしょうか。
( 2007.12.16 藤井宏行 )