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Kaiutar   Op.72-4  
  6 Laulut
ヤマビコの娘  
     6つの歌

詩: キュヨスティ (Larin Kyösti,1873-1948) フィンランド
      

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: フィンランド語


Kaiutar,korea neito
Astui illalla ahoa,
Kaihoissansa kankahalla,
Huusi yksin huoliansa.
Tullut ei suloinen sulho,
Vaikka vannoi valallansa
Kihlaavansa kaunokaisen.
Ennen astuivat ahoa
Kankahalla kuherrellen
Kilvan kyyhkyjen kisoissa
Kesäpäivän paistaessa,
Illan kuun kumottaessa.
Meni sulho sanoinensa
Impi jäi sydäminensä.
Etsii impi ihanainen
Kullaistansa kankahalta,
Huhuilevi i kuuntelevi,
Kirkuvi kimahutellen
Äänen pienoisen pilalle,
Jähmettyvi,jäykästyvi,
Kaatuissansa kauhistuvi
Mustan metsän pimeyttä.
Aamulla herättyänsä
Kulkee kuje mielessänsä,
Eksyttävi erämiehen
Matkien ja mairitellen,
Niin kuin ennen eksytteli,
Sulho suurilla sanoilla,
Tuulen turhilla taruilla.

山彦の妖精、美しい娘
夕べに草原を歩きながら
あこがれを この荒れ野の中
ひとつの悩みを口にしながら
美しい恋人はやってこない
あれほど誓ったにも関わらず
婚約の誓いをこの妖精に。
昔も歩いた この草原を
この荒れ野の中 デートしながら
ハトのように愛をささやいて
焼けつくような夏の日中や
夕べの月がおぼろに光る時も。
だが恋人は何も言わず去ったのだ
少女は悲しい心と共に残された
少女は恋人を探し
さ迷い歩く この荒れ野の中
大声で叫び 聞き耳を立てる
金切り声を立て 叫び
小さな声を出し 隠れ
こわばって 固まり
ひきつけを起こして おびえた
黒い森の暗闇に。
次の朝目覚めたとき
無邪気ないたずら心で出かけた
深い森に迷わせようと
旅人を 甘い言葉で
ちょうど昔 彼女が惑わされたように
あの恋人が 大きなことを言って
風のような虚しい作り話で。


シベリウスの書いた数少ないフィンランド語の歌曲の中では、Op.72ということで珍しく後期のものになります。この歌曲集Op.72は6曲からなっていたようですが、残念なことに第一次世界大戦のごたごたではじめの2曲の楽譜が行方不明となり、現在はその他の4曲しか耳にできることはないのですが、いずれも印象的な歌ばかりです。しかも興味深いのは1曲がドイツ語の歌、そしてもう1曲がこのフィンランド語の歌ということで、かなり多彩な音楽になっていることです。そのいずれもが素晴らしい歌ではあるのですが、ここではこの珍しいフィンランド語の歌を。一聴してその言葉の響きがたいへん美しいことに驚かされます。冒頭の悲しいヤマビコの精のさ迷い歩きがだんだんと激しくなり、そしてまた翌朝に冒頭のメロディが帰ってくるところなども見事な小さいドラマを作り上げています。
詩人のLarin Kyösti (1873-1948)の経歴につきましては調べきれておりませんが、フィンランド語が分からなくても非常に美しい響きの詩を書く人なのだなあということはなんとなく分かります。

( 2007.12.08 藤井宏行 )


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