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Si vous l’aviez compris    
 
分かってくれていたら  
    

詩: ボルテーズ (Stéphan Bordèse,1847-1919) フランス
      

曲: デンツァ (Luigi Denza,1846-1922) イタリア   歌詞言語: フランス語


Rien qu’au revoir murmuré tout bas,
En me serrant la main,
Et mon Coeur brisé suivit vos pas
Au loin sur le chemin.

Car vous n’avez jamais connu
L’amour don’t je souffrais,
Jamais vous n’êtes revenue,
Ô vous que j’adorais!

Pourquoi n’avez vous pas surpris
Mon secret dans mes yeux!
Hélas! Si vous l’aviez compris
Nos coeurs unis seraient heureux!


Rien qu’au revoir murmuré tout bas,
En me serrant la main,
Et c’est la,ce qu’il me reste helas,
D’un doux rêve lointain.

Depuis,je vis dans le passé,
Revoyant ce moment
Que rien n’a jamais effacé;
Je vis en vous aimant.

Pourquoi n’avez vous pas surpris
Mon secret dans mes yeux!
Hélas! Si vous l’aviez compris
Nos coeurs unis seraient heureux!

さよならだけが低くささやかれた
私の手を握って
ぼくの破れた心はきみのゆくえを追いかける
はるかずっと遠くまで

きみはちっとも知らなかったんだ
ぼくを苦しめていたこの愛を
きみは二度と戻ってこなかった
ああ ぼくがとても愛していたきみは!

どうして分かってくれなかったのか
ぼくの目の中にあった秘密を
ああ!分かってくれていたなら
ぼくたちの心は結ばれて幸せになれたのに!


さよならだけが低くささやかれた
私の手を握って
そしてそれだけだ、ぼくに残されたのは、ああ
はるか昔の甘い夢だけ

あれからぼくは過去の中に生きている
あのときを思い出しながら
何ものも消し去ることのできなかったあのときを
ぼくはきみを愛し続けて生きているんだ

どうして分かってくれなかったのか
ぼくの目の中にあった秘密を
ああ!分かってくれていたなら
ぼくたちの心は結ばれて幸せになれたのに!


作曲者のルイジ・デンツァといえば現在ではナポリ民謡とされることの多い「フニクリ・フニクラ」の作曲者としてしか名前が残っていないような感じですが、活躍していたころはセミクラシックの歌曲の作曲家として、当時の大歌手たちの愛唱歌を次々と生み出していたヒットメーカーであったようです。ここで取り上げたのもそんな曲のひとつ、SPには往年の名テナー、カルーソーやディ・ステファノの録音もあるようです。
面白いのは、イタリアの作曲家であるにも関わらずこの曲、詩がフランス語なのです。そして私がおやっと思ったのは、詩人が今やほとんど知られていない人ですがフォーレの名曲「祈り」の作詞者として名前を残していたステファン・ボルテーズであったこと。まあ確かに詩としての深みはないような感じですけれども、歌謡曲としての詞としては十分すぎるくらい良くできているのではないでしょうか。そして曲は典型的なイタリアン・カンツォーネ、冒頭のメロメロの短調のメロディが途中で転調して恋する人への想いを切々を訴える部分などは惚れ惚れと聴かされます。
フランス語で歌われるカンツォーネということでも面白い聴きものではないかと思います。トスティにもフランス語や英語の歌詞の曲があったりしますので、この時代の作曲家は大オペラ歌手の求めに応じてどんな言語の詞でも歌にしていたということでしょうか...

2002年にテノールのホセ・カレーラスが入れたアルバム「愛のメランコリー」(DG)は、往年の名歌手ティト・スキーパ、エンリコ・カルーソー、それにジュセッペ・ディ・ステファノたちの遺産を引き継ぐということで、こんな感じの今や忘れ去られてしまった歌を彼自身が選曲し構成した非常に興味深いアルバムですが、その中に見事な歌で収められていました。彼の泣きの入った声にはこの曲ははまりすぎるくらいにはまっています。ピアノと弦楽4重奏による伴奏(編曲:H.W.ベーク)もなかなか味わい深く聴けました。

あとは手元の古い録音で聴けたのは往年のシャンソン歌手ティノ・ロッシのもの。彼も高い声の甘美さで鳴らした人ですから絶妙の味です。

( 2007.12.08 藤井宏行 )


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