Tomo y obligo |
交わす盃 |
Tomo y obligo,mándese un trago, que hoy necesito el recuerdo matar; sin un amigo lejos del pago quiero en su pecho mi pena volcar. Beba conmigo,y si se empaña de vez en cuando mi voz al cantar, no es que la llore porque me engaña, yo sé que un hombre no debe llorar. Si los pastos conversaran,esta pampa le diría de qué modo la quería,con qué fiebre la adoré. Cuántas veces de rodillas,tembloroso,yo me he hincado bajo el árbol deshojado donde un día la besé. Y hoy al verla envilecida y a otros brazos entregada, fue para mí una puñalada y de celos me cegué, y le juro,todavía no consigo convencerme como pude contenerme y ahí nomás no la maté. Tomo y obligo,mándese un trago; de las mujeres mejor no hay que hablar, todas,amigo,dan muy mal pago y hoy mi experiencia lo puede afirmar. Siga un consejo,no se enamore y si una vuelta le toca hocicar, fuerza,canejo,sufra y no llore que un hombre macho no debe llorar. |
俺も飲むから飲め、一杯飲んでくれ 俺は今宵思い出を殺さなくちゃならないんだ 友もなく 故郷からも遠く離れて 俺はあんたの胸に俺の苦しみをぶちまけたいんだ 俺と飲んでくれ そしてもし時に 歌う俺の声が曇ったとしても それは俺を騙したアイツのことを泣いているんじゃない 俺は知っているんだ 男は泣いちゃいけないことを もし牧草が口をきけたなら、あの大草原があんたに教えてくれるだろう どんなに俺がアイツを愛していたか どれほど熱に浮かされていたかということを 何度俺は震えながら膝を折ったことか ある日アイツにキスしたあの木の下で そして今 他のやつの腕に身をゆだねた いやしいアイツの姿を見たとき 俺にはナイフの一突きだった 嫉妬で目の前が真っ暗になった 誓って言うが いまだに俺には自分が納得できない どうしてあそこで我慢していたのか 即座にアイツを殺さなかったのか 俺も飲むから飲め、一杯飲んでくれ 女たちのことは話さないのが一番だ 友よ 女はみんな裏切るものだ 今俺は経験からそう言い切ることができる 俺の忠告に従って 女に惚れてはいけない もしも仕方なく 鼻を突っ込んでしまったら かんばれ チキショウ、苦しめ、でも泣くな 本当の男は泣いてはいけないんだ |
アルゼンチンタンゴというのは意外と年配の日本人に人気が高いようなのですが、そのひとつの理由はこんな感じの演歌につながるような「泣き」や「怨み節」の入った歌がけっこうあるということにもあるのかな、などと(偏見なのでしょうけれども)思えてしまいます。私はあまり詳しくないのですが、調べてみるとけっこうな歴史があり、そしていくつも面白い歌がありましたので著作権の許す範囲で取り上げてみたいと思います。
この歌は1931年の映画「ブエノスアイレスの灯」で歌われた歌で、伝説のタンゴ歌手、カルロス・ガルデルが映画スターとしてのキャリアを展開するきっかけとなりました。
酒場で見知らぬ人に振られた腹いせでカラんでいるだけなのですが、何とも身につまされる内容ではあります。「男は泣いちゃいけないんだ」なんていうフレーズには古き時代のジェンダー(性的役割)の雰囲気はありますが、今の世の日本でも居酒屋「村さ来」や「魚民」なんかで毎日のように見られそうな情景ですね。
作詞のマヌエル・ロメロ(1891-1954)は作曲家としても活躍していた人なのだそうです。
( 2007.12.08 藤井宏行 )