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I Didn’t Raise My Boy to Be a Soldier    
 
あたしは息子を兵士には育てなかった  
    

詩: ブライアン (Alfred Bryan,1871-1958) アメリカ
      

曲: ピアンタドーシ (Al. Piantadosi,1884-1955) アメリカ   歌詞言語: 英語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
何千万の兵士たちが戦場に行った
もう二度と帰ってこないかも知れない
何千万の母の心は張り裂けるだろう
むなしく死んでいった兵士たちのために
悲しみに頭を低くして
孤独の年月を過ごすのだ
涙にくれるそんな母のつぶやきが聞こえる

あたしはわが子を兵士には育てなかった
あたしは彼をわが誇り、喜びとして育てたのよ
誰があの子の肩に小銃を持たせたの
他の母の愛しい息子を撃ち殺すだめに?

(歌詞の著作権がまだ生きておりますので、1番の一部のみ大意で訳しました)


悲惨な南北戦争が終わったおよそ50年後、ヨーロッパでは激しい戦争が勃発します。第一次世界大戦です。この戦争にアメリカが参戦すべきかどうかをめぐって国論は二分されました。それまでのアメリカは海外の問題にはあまり関わらない立場を取る孤立主義がずっと主流でした。また南北戦争の体験をまだ記憶している人もまだたくさん存命中であり、それこそ今の日本で海外に自衛隊を出す・出さないの議論とは比べ物にならないくらいの激しい対立があったようです。そんな中1915年にこんな歌が作られました。アメリカ版「君死に給うことなかれ」ですが、こんな歌がアメリカにあって、そしてしかもかなりのヒットを記録したというのは非常に興味深いところです。
曲の冒頭はアイルランド民謡の「少年楽手」のメロディをそのまま借用していますが、すぐにロマンティックなミュージカル風の音楽となり、そしてそのまま終わります。オリジナルでは普通のミュージカル風に盛り上がって行きくだけのようですが、マリリン・ホーンが歌った録音では最後の部分は歌わずに語り非常に効果的な反戦のメッセージになりました。

訳しませんでしたこの歌の後半の方には、「諸国は武器を捨てて平和裡に問題を解決しよう・戦争をなくそう」なんて政治的なメッセージもあるにはあるのですが、大意を訳しましたこの前半の部分のエモーショナルな訴えかけは心に響いてきます。
作詞はAlfred Bryan(1871-1958)、作曲はAl. Piantadosi(1884-1955)、いずれもポピュラーミュージックの世界ではしばしば名前を見かける人です。

あまりにこの歌が評判を呼んだものですから、参戦派の中にはこの歌をもじって「I Didn’t Raise My Boy to Be a Coward(あたしはわが子を臆病者には育てなかった)」といった替歌を作ったりもしたのだそうです。
南北戦争の頃ばかりではなく、この時代にもこんな反戦歌があってしかもそれが広く歌われ、そして今に残っているというアメリカという国の懐の広さに非常に興味を覚え、ちょっとご紹介してみることにしました。

( 2007.12.08 藤井宏行 )


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