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D'une prison    
  Premier Recueil de 20 mélodies
牢獄にて  
     20のメロディー第1集

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    Sagesse - Sagesse III 6 Le ciel est,par-dessus le toit

曲: アーン,レイナルド (Reynald Hahn,1875-1947) フランス   歌詞言語: フランス語


Le ciel est, par-dessus le toit,
 Si bleu, si calme!
Un arbre, par-dessus le toit,
 Berce sa palme.

La cloche, dans le ciel qu'on voit,
 Doucement tinte.
Un oiseau sur l'arbre qu'on voit
 Chante sa plainte.

Mon Dieu, mon Dieu! la vie est la,
 Simple et tranquille.
Cette paisible rumeur-la
 Vient de la ville.

Qu'as-tu fait, o toi que voila
 Pleurant sans cesse,
Dis, qu'as-tu fait, toi que voila,
 De ta jeunesse?
あの空は 屋根の向こうで
 あんなに青く あんなに静かだ!
一本の木が 屋根の向こうで
 揺らしてる その葉を

あの鐘は 見渡す空に
 穏やかに鳴り響く
一羽の鳥が 目に映る梢で
 歌っている 嘆きの歌を

わが神よ わが神よ!人生はあそこなのですね
 単純で穏やかな
あの安らかなさざめきは
 やって来るのだから 街の方から

お前は何をしてきたのだ おおここにやって来て
 終わりなき涙にくれるお前は
答えろ どうしてしまったのだ ここへ来たお前
 お前の青春を?

ヴェルレーヌがランボーを傷つけて牢屋に入れられた時に書いた詩に、アーンはとてもしみじみした曲を付けました。途方に暮れているのになぜだか優しい。私はアーンの最高傑作だと思うのですが、意外に録音は少ないようです。往年の名歌手ジャンヌ・バトリのSP録音もありますが、ここはやはりカミーユ・モラーヌのErato 盤、彼はこういう曲は本当に巧いですし、声の質もぴったりだと思います。
(藤井宏行) 1998

その後いろいろな録音を聴く機会に恵まれました。モラーヌのものも無論素晴らしいですが、同じバリトンでもシャルル・パンゼラの味のある歌、ゆったりした歌でしみじみと情感を歌うスーザン・グラハムのメゾソプラノ、またフランス歌曲で定評のあるハイペリオンレーベルではテノールのマーティン・ヒルやソプラノのフェリシティ・ロットが入れた録音がありますがこれもなかなか素敵です。あとは早めのテンポで感情の起伏を強く出しているオペラ歌手(のイメージが強い)ヴィンソン・コールのテノールの歌などが面白かったです。
淡々と、しみじみと塀の外の情景を歌うところと、自問自答する最後の部分の緊迫感のコントラスト、そしてまた初めの情景が戻ってくるところのどこに力点を置くかで結構多様な解釈が聞かれて面白い曲でもありました。
前言撤回。探すと結構録音はありますね。

2003.9.23改訂

( 2003.09.23 藤井宏行 )


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