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Schäfers Klagelied    
 
羊飼いの嘆きの歌  
    

詩: ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe,1749-1832) ドイツ
      Schäfers Klagelied (1802)

曲: ガーデ (Niels Gade,1817-1890) デンマーク   歌詞言語: ドイツ語


Da droben auf jenem Berge,
Da steh' ich tausendmal,
An meinem Stab gebogen,
Und schaue hinab ins Tal.

Dann folg' ich der weidenden Herde,
Mein Hündchen bewahret mir sie;
Ich bin herunter gekommen,
Und weiß doch selbst nicht wie.

Da steht von schönen Blumen
Die ganze Wiese so voll;
Ich breche sie,ohne zu wissen
Wem ich sie geben soll.

Und Regen,Sturm und Gewitter
Verpass' ich unter dem Baum.
Die Türen dort bleiben verschlossen;
Doch alles ist leider ein Traum.

Es steht ein Regenbogen
Wohl über jenem Haus!
Sie aber ist weggezogen,
Und weit in das Land hinaus.

Hinaus in das Land und weiter,
Vielleicht gar über die See.
Vorüber,ihr Schafe,vorüber!
Dem Schäfer ist gar so weh.

あの高い山の上
そこに僕は何千回と立ち
杖に体を持たせかけて
下の谷間を眺めたことか

それから羊の群れを追う
犬も群れを見張りながら
僕は山を降りたけれど
どうやって降りたかわからない

美しい花でいっぱいの
この牧場一面で
僕は花を摘むけれど
誰にあげるあてもない

雨や嵐や雷がくれば
僕は木陰でやり過ごす
あの家の戸は閉じたままだ
すべては夢でしかないのだ

虹がかかっている
あの家の上に!
でもあの人は行ってしまった
遠くの国へ行ったのだ

はるか、はるか遠くの国へ
海までも越えて行ってしまった
終わった、羊たちよ! もう終わったのだ
羊飼いは今、悲しいんだ

有名なゲーテの詩、これに付けた曲としてはシューベルトのものが良く知られているでしょうか。でもここではデンマークのロマン派音楽の最初の大物、ニルス・W・ゲーゼ(ガーデ)のものを取り上げてみます。
彼はメンデルスゾーンとも交流があり、管弦楽曲(交響曲が8曲ある)はドイツ・ロマン派の流れを汲むとても清新な曲だったりもします。歌曲もたくさん作っているようですが、民謡を洗練したかのようなデンマーク語に付けたものと、シューベルトの歌曲と見まがうドイツリートとがあります。そんなわけでこの詩に付けた曲に関してはシューベルト作品のセカンドバージョンといった趣でちょっと不思議です。
時代が国民楽派と呼ばれる人たちが現れるだいぶ前ですので、北欧の味わいというやつはあまりないと言ってしまえばそれまでなのですが、逆にデンマークやスウェーデンの1850年代生まれくらいまでの作曲家の作品は、知られざる魅力的な「ドイツ歌曲」の宝庫とも言えるわけです。
デンマークのKontrapunktというレーベルでは、世界初録音という触れ込みでこの知られざる北欧の「ドイツ歌曲」作曲者ニルス・ゲーゼの歌曲集がリリースされており、その第1集にこの曲はベアテルセン(Br)の歌で収録されています。

( 2004.05.31 藤井宏行 )


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