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L'Anguille   FP 48  
  Quatre Poèmes de Guillaume Apollinaire
ウナギ  
     ギョーム・アポリネールの4つの詩 

詩: アポリネール (Guillaume Apollinaire,1880-1918) フランス
      L'Anguille

曲: プーランク (Francis Poulenc,1899-1963) フランス   歌詞言語: フランス語


Jeanne Houhou la très gentille
Est morte entre des draps très blancs
Pas seule Bébert dit l'Anguille
Narcisse et Hubert le merlan
Près d'elle faisaient leur manille

Et la crâneuse de Clichy
Aux rouges yeux de dégueulade
Répète “Mon eau de Vichy”
Va dans le panier à salade
Haha sans faire de chichi

Les yeux dansant comme des anges
Elle riait,elle riait
Les yeux très bleus les dents très blanches
Si vous saviez,si vous saviez
Tout ce que nous ferons dimanche.

ジャンヌ・ウーウはとてもいい娘だったんだけどねえ
とっても白いシーツの間で死んじまったよ
ひとりだったんじゃなくてウナギと名乗ってるベベールと
ナルシス それに鱈のユベールが
あの娘の横でトランプしてたよ

それでクリシー姐さんは
ゲロ吐きの赤い眼をして
「あたしのヴィッシー」を繰り返しながら
囚人の護送車で行っちまった
アハハーと まるで気取ることもせず

天使みたいに踊る目で
彼女は笑った 笑った
とても碧い眼 とても白い歯
もしあんた達が知ってたら もしあんた達が知ってたら
あたし達が日曜日にすることをみんな


こんな詩を歌曲にするなんてさすがプーランクです。パリの歓楽街にある安ホテルの人間模様。死んじゃったウーウは薬物でもやっていたんでしょうか。クリシー姐さんの大物振りも素晴らしいです。「日曜日にすること」というのは予想もつきませんが(わかるような気もしますが)、何とも粋なオチです。うらぶれたワルツがまた詩情にぴったりと寄り添ってきます。
護送車と訳したle panier à saladeですが、直訳するとサラダボールです。辞書にはなかったのですが参照した村田健司氏の訳ではこの言葉を充てておられましたのでそれに従いました。

( 2007.11.23 藤井宏行 )


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