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Chanson pour Jeanne    
 
ジャンヌに捧ぐ歌  
    

詩: マンデス (Catulle Mendès,1841-1909) フランス
      Chanson pour Jeanne

曲: シャブリエ (Alexis Emmanuel Chabrier,1841-1894) フランス   歌詞言語: フランス語


Puisque les roses sont jolies
Et puisque Jeanne l'est aussi,
Tout fleurit dans ce monde-ci;
Et c'est la pire des folies
Que de mettre ailleurs son souci,
Puisque les roses sont jolies
Et puisque Jeanne l'est aussi.

Puisque vous gazouillez,mésanges,
Et puisque Jeanne gazouille aussi,
Tout chante dans ce monde-ci;
Et les harpes saintes des anges
Ne feront jamais mon souci,
Puisque vous gazouillez,mésanges,
Et puisque Jeanne gazouille aussi.

Puisque la belle fleur est morte,
Morte l'oiselle,et Jeanne aussi,
Rien ne vit dans ce monde-ci;
Et j'attends qu'un souffle m'emporte
Dans la tombe,mon seul souci,
Puisque la belle fleur est morte,
Morte l'oiselle,et Jeanne aussi.

バラの花は可愛らしいから
そしてジャンヌもまたそうだから
この世のすべてのものは花開くんだ
そして一番よくないことは
その中に心配事を置くことさ
バラの花は可愛らしいから
そしてジャンヌもまたそうだから

お前は歌うのだから、シジュウカラよ
そしてジャンヌもまた歌うのだから
この世のすべてのものは歌を歌うんだ
そして天使たちの神聖なハープは
決してぼくの悩み事なんて作らない
お前は歌うのだから、シジュウカラよ
そしてジャンヌもまた歌うのだから

美しい花は枯れるのだから
小鳥は死ぬのだから、そしてジャンヌもまた
この世に生きているものは何もない
その時ぼくは待つ 風がぼくを運び去ってくれるのを
墓の下へと 私の悩みも
美しい花は枯れるのだから
小鳥は死ぬのだから、そしてジャンヌもまた


このいかにもシャブリエらしいメロディの美しい歌も彼の代表作のひとつに数えられています。フォーレなど他の作曲家の歌曲にも名前の見えるこの詩人カチュール・マンデスはシャブリエと関係が深かった人で、彼のオペラの台本を書いていたりもします。
このサイトでは既に彼の詩になるもうひとつの傑作「リート」も取り上げておりますが、高踏派詩人と言われる割にはくだけた詩も書く人なのだなあ、というのが今回も訳してみて思われました。
ある意味陳腐とさえ感じられる言い回しはわざと狙って書いたところなのでしょう。それがまたシャブリエの軽妙洒脱な音楽にぴたりとはまって、この曲も素晴らしい歌になりました。
最後に愛するジャンヌがあっさりと死んでしまうのがちょっと不思議な感じもしますが、限りある命の中での愛だから一層かけがえがないのだ、というメッセージなのでしょうね。そんな感じを精一杯訳出しようとしましたが果たしてうまく行きましたかどうか。最後はこのあこがれに満ちた美しい歌が暗くなりますけれども、しみじみと美しい余韻を残して消えていきます。

( 2007.11.17 藤井宏行 )


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