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I don't see it,Mama    
 
ママ、私好きじゃないの  
    

詩: ワトソン (Henry C. Watson,1818-1875) イングランド→アメリカ
      

曲: ゴットシャルク (Louis Moreau Gottschalk,1829-1869) アメリカ   歌詞言語: 英語


I was sitting in a ballroom,not a “wallflow’r”,but alone,
For I’d refus’d the proffer’d hands of partners one by one.
Mama said: “Celestina,Won’t you dance my dear!”
“I won’t. It is a bore,Ma,I don’t see it.”
Mama look’d back and said,” My child,you’re really quite a fool,
To sit quite all alone,like a dunce upon a stool;
While De Smythe a splendid match awaits your hand,
come dance.” “I won’t. It is a bore,Ma,
Upon my word,I don’t,I don’t see it.”

“Here’s Cousin Harry,look,Mama. He’s coming right to me!
I suppose I’ll have to dance next dance.
I promised him you see.”
Mama said,full of spite: “Take care,it will bore you.”
“No it won’t. I don’t see it,Ma. Indeed,I don’t.
This time,I don’t Ma. I don’t see it.”

とある舞踏会であたし座っていたの、壁の花ってわけじゃないけど、ひとりぼっちで
ダンスの相手の申し込みを片っ端から拒んでいたから
そしたらママがいったわ: 「セレスティーナ、どうして踊らないの?」
「いやよ。つまらないから。あたしワカンナイ。」
ママは振り返って言ったの、 「なんてバカな子なの。
こんな隅っこにムスっとして座ったままで。
最高にお似合いのスマイス君なんて待ってるわよ
さあ、踊りなさい」 「いやよ。つまんないもん。ママ
絶対いや」

「ママ、あそこ、従兄弟のハリーが来たわ。私の方にまっすぐ向かって来る
次のダンスは絶対踊らなくちゃいけないわ
あたし彼と約束してくるわね」
ママは嫌みたっぷりに、「大丈夫なの、つまんないんでしょ」
「いいえ、大好きよ。あたしワカンナイ。ママ、今度は違うの。
今度は違うの、ママ、あたしワカンナイ」

アメリカで最初の大物クラシック作曲家といえば、このゴットシャルク(アメリカ英語読みでゴッチョークと呼ぶ人もいる)になるのでしょうか? 彼の代表ジャンルはピアノ曲で、私は「アメリカのショパン」と呼んでもいいと思っています。斬新な音楽スタイルはとても19世紀の作曲家とは思えないような素晴らしさで、アメリカの民謡や黒人音楽などもこの時代から巧みに取り入れて素敵な音楽を作った人がいたということはもっと多くの人に知って頂きたいものです。
そんな彼のもうひとつの力を入れていたジャンルが実はこの歌曲なのだそうですが、残念ながら今までは彼のピアノ曲の録音の数の多さに比べると、声楽ものの録音は皆無に等しい状況でした。この手の隠れた名作を発掘してくれるPremierレーベルが、このゴットシャルクの歌曲を集めたCDを出してくれていたことを最近知り聴いてみましたが、結構多彩な作風でこれも面白かったです。
中でもこの曲、お茶目な青春TVドラマの1シーンを見るような歌でなかなか気に入ったので訳してみました。今、アニメ付きでNHK「みんなの歌」で歌われても違和感のない情景と歌なのですが、こんなのが日本でいえば明治維新の頃に作曲されていたというのも驚きです。でもモーツァルトの歌曲のようにも聴こえてくるような気もするのはちょっと不思議ですが。
歌っているソプラノのHinchmanもおどけたり叫んだりと演技たっぷりでとても楽しい仕上がりです。このCD、彼の歌曲とピアノ曲をほぼ交互に録音しており、この作曲家に興味のある方はぜひどうぞ。

( 2000.03.13 藤井宏行 )


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