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Vostochnyj romans   Op.27-2  
  Dve pesni na slova A. Pushkina
オリエンタル・ロマンス  
     プーシキンの詩による二つの歌

詩: プーシキン (Aleksandr Sergeyevich Pushkin,1799-1837) ロシア
      В крови горит огонь желанья (1825)

曲: グラズノフ (Aleksandr Konstantinovich Glazunov,1865-1936) ロシア   歌詞言語: ロシア語


V krovi gorit ogon’ zhelan’ja,
Dusha toboj ujazvlena;
Lobzaj menja,tvoi ljubzan’ja
Mne slashche mirra i vina.

Sklonis’ ko mne glavoju nezhnoj
I da pochiju bezmjatezhnyj,
Poka dokhnet veselyj den’
I dvignetsja nochnaja ten’.

血の中で炎と燃える欲望
魂はお前に捕らえられている
我にくちづけを、お前のくちづけは
我にはミルラやワインよりも甘いのだ

我に向けて その可愛い頭を寄せよ
そこで安らかな眠りにつこう
楽しき昼が終わってから
そして夜の影が薄れてくるまでの間



ロシア歌曲は、これはという大物の作曲家でも歌曲集が手に入らなかったりします。
グラズノフもそういった中のひとりで、作品リストを見るとけっこう歌曲は作っているようなのですけれども、わたしは未だかつて彼の歌曲集録音を目にしたことがありません。そういう訳で、ここにご紹介した曲は私が耳にすることのできた唯一のグラズノフ歌曲なのですが、彼のメロディ作りの才能を感じ取ることのできる傑作だと思いました。
熱いオリエンタルの情熱がアラビア風のゆったりした旋律で歌われます。
オリエンタルというのは、遠く離れた幻想の土地といったところなのでしょうか?アラビアン・ナイトの一節にでもありそうな不思議な詩です。
もっともプーシキンはコーカサスの方に旅行に行っていたりもしますから、けっこうオリエンタル情緒も勝手知ったるところなのかも知れません。けだるく永遠に流れる時間のなかで、とろけるような官能の世界を歌にした佳品です。
この曲をウクライナ生まれのイスラエルのソプラノ、ネタニア・ダウラツが歌っている盤を見つけて嬉しくなりました。なかなか出会うことの少ないリリコ・ソプラノによるロシア歌曲集だったからです。(Vangard)
ムソルグスキーの「死の歌と踊り」なんかでも、透明な声で歌われると滅多に聴けないだけになんとも言えない味わいですし、同じ作曲家の歌曲集「子供部屋」やR?コルサコフのオペラ「サトコ」よりの子守歌などではまさに絶品の歌声です。

( 1999.10.10 藤井宏行 )


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