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La fille aux cheveux de lin   L 33  
 
亜麻色の髪の少女  
    

詩: ルコント・ド=リル (Charles-Marie-René Leconte de Lisle,1818-1894) フランス
    Poèmes antiques - Chansons écossaises  La fille aux cheveux de lin

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Sur la luzerne en fleur assise,
Qui chante dès le frais matin ?
C'est la fille aux cheveux de lin,
La belle aux lèvres de cerise.

L'amour,au clair soleil d'été,
Avec l'alouette a chanté.


Ta bouche a des couleurs divines,
Ma chère,et tente le baiser !
Sur l'herbe en fleur veux-tu causer,
Fille aux cils longs,aux boucles fines ?

L'amour,au clair soleil d'été,
Avec l'alouette a chanté.


Ne dis pas non,fille cruelle !
Ne dis pas oui ! J'entendrai mieux
Le long regard de tes grands yeux
Et ta lèvre rose,ô ma belle !

L'amour,au clair soleil d'été,
Avec l'alouette a chanté.


Adieu les daims,adieu les lièvres
Et les rouges perdrix ! Je veux
Baiser le lin de tes cheveux,
Presser la pourpre de tes lèvres !

L'amour,au clair soleil d'été,
Avec l'alouette a chanté.


きれいに並んだウマゴヤシの花の上で
誰がこのさわやかな朝に歌っているの?
それは亜麻色をした髪の少女
桜んぼのようなくちびるをしたきれいな娘

愛する人は、夏の太陽の輝きと
ヒバリの歌声を持ってる


おまえの口は神様のような色合い
いとしい人よ 口づけをおくれ!
花咲く草原でおしゃべりするかい
長いまつげの少女よ、きれいな巻き毛の

愛する人は、夏の太陽の輝きと
ヒバリの歌声を持ってる


いやだなんて言わないで 残酷な人よ!
いいわなんて言わないで!もっと期待してしまう
大きな瞳で 遠くを見つめてる
バラ色のくちびるの娘、おおぼくの恋人!

愛する人は、夏の太陽の輝きと
ヒバリの歌声を持ってる


さよなら シカたちよ さよなら 野ウサギ
そして真っ赤なヤマウズラよ ぼくはしたいんだ
おまえの亜麻色の髪にくちづけを
それにおまえの真っ赤なくちびるに


愛する人は、夏の太陽の輝きと
ヒバリの歌声を持ってる


「亜麻色の髪の乙女」といえばドビュッシーの有名なピアノ作品「前奏曲集第一巻」の8曲目の題名で、この曲は彼の作品の中でもかなり有名なものではないかと思います。時は流れて昭和の半ば、グループサウンズ全盛の時代にビレッジシンガーズというグループが同名の歌謡曲を大流行させましたが、このドビュッシーの曲を念頭においていなかったということは決してないでしょう。こちらの曲の方は最近島谷ひとみが何かのCMでカヴァーして歌っていましたので若い方もご存じでしょうか。

ところがドビュッシーの方にも実は詩の元ネタがあったのです。しかも未出版ですがその詩に付けた歌曲があるということで、非常に興味を覚えて訳してみました。この題名の詩を書いたのは高踏派詩人ルコント・ド=リル、彼の「スコットランドの歌」という詩集の中の一篇なのだそうです。ド=リルといえば、ロバート・バーンズの詩に触発されて同じ内容を歌った「ネル」というこれまた素晴らしい恋歌があって、こちらはフォーレが見事な歌曲にしていることを思い出させます。そうしてみるとこの「亜麻色の髪の乙女」も内容的に「ネル」に非常に近いところにあるのですね。こちらの詩を私は今回初めて見ましたが素朴さ一杯の明るい恋の歌ということである意味双子のような作品とさえいえます。

残念ながら未出版の歌曲ということで、私はまだ音になったのを聴くのはおろか、楽譜すら目にしたことはありません。こんな素朴な詩をはたしてドビュッシーはどう料理したのかとたいへんに興味が惹かれるところなのですが、音楽へのめぐり会いはもっと先のことになりそうです。

( 2007.11.17 藤井宏行 )


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