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Pantomime   L 31  
 
パントマイム  
    

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    Fêtes galantes 2 Pantomime

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Pierrot,qui n'a rien d'un Clitandre,
Vide un flacon sans plus attendre,
Et,pratique,entame un pâté.

Cassandre,au fond de l'avenue,
Verse une larme méconnue
Sur son neveu déshérité.

Ce faquin d'Arlequin combine
L'enlèvement de Colombine
Et pirouette quatre fois.

Colombine rêve,surprise
De sentir un cœur dans la brise
Et d'entendre en son cœur des voix.

ピエロめ、クリタンドルとは似ても似つかぬが
酒瓶を一気に飲み干しおる
で、抜け目なくもパテも切り分けておる

カッサンドルは通りの端で
孤独の涙を流す
やつの勘当した甥のことを思って

さてアルルカンの悪漢どものたくらみは
コロンビーヌをさらってくること
そしてつま先で四回転

夢見るコロンビーヌは驚いた
心がそよ風に触れて
誰かの声が心の中で聞こえたから


ヴェルレーヌの詩集「艶なる宴」でよく出てくる人形芝居の情景、これは宴の余興でしょうか。「月の光」がこうこうと照る中「マンドリン」や「あやつり人形」の登場人物がここでもまた現れて劇をしています。登場してくる4人が4様に違うキャラクターですので、音楽の方も4様に多彩です。食いしん坊で抜け目のないピエロ、頑固でうるさい爺さんのカッサンドル、アルルカンはどこか間の抜けた悪党のようですし、最後のコロンビーヌはとてもウブなお嬢様の感じです。

ドビュッシーの歌曲には珍しくコロラトゥーラソプラノが技巧的に歌うような曲想で書かれていて聴いていても面白いです。マディ・メスプレの歌は線が少々細くて響きに独特の癖がありますが美しいですし、もう少ししっとりとした感じのジャニーヌ・ミショーの歌も伴奏のチッコリーニの名演もあってなかなかです。またこの人コロラトゥーラではないと思うのですが見事に歌っているのがドーン・アップショー、彼女のドビュッシーは他にも色々聴けますがどれも素晴らしいと思いました。

( 2007.11.17 藤井宏行 )


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