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Fleur des Blés   L 7  
 
麦畑の花  
    

詩: ジロー (André Girod ,-) フランス
      

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Le long des blés que la brise
Fait onduler puis défrise
En un désordre coquet,
J'ai trouvé de bonne prise
De t'y cueillir un bouquet.

Mets-la vite à ton corsage;
Il est fait à ton image
En même temps que pour toi.....
Ton petit doigt,je le gage,
T'a déjà soufflé pour quoi:

Ces épis dorés,c'est l'onde
Da ta chevelure blonde
Toute d'or et de soleil;
Ce coquelicot qui fronde
C'est ta bouche au sang vermiel.

Et ces bluets,beau mystère!
Points d'azur que rien n'altéte,
Ces bluets ce sont tes yeux
Si bleus qn'on dirait,sur terre,
Deux éclats tombés des cieux.

そよ風に麦の穂が
揺れ動いたりそれから真っすぐに立ったりと
色っぽい乱れ髪のようになっているのを見ていたら、
俺はすてきなことを思いついた
お前に花を摘んでやろうと

そいつを早くお前のブラウスに着けてご覧
お前のイメージに合わせて選んだんだ
お前のためであるのと同時に...
お前の小指は、俺は断言するが、
なぜだかなんてとっくにささやいているよな

この金色の穂、そいつは波だ
お前のブロンドの髪の
みな黄金と太陽の髪だ;
このヒナゲシ、小馬鹿にしたようにほほえんでいる
そいつは血のように赤いお前のくちびるだ

そしてその矢車菊、美しい神秘たち!
色あせることのない青い印、
この矢車菊、そいつはお前の瞳
とても青く、それはまるで地上に
天から落ちてきた二つの輝く流れ星なのさ


美しい金色に実った麦の畑はまるで恋する人のブロンドの髪のように見えたのでしょう。そして畑の脇に咲いている花はまるでその髪飾りのように。田舎の洒落男のたいへんにキザな、それでいて何とも憎めない恋人へのラブコールがドビュッシーの手によってまた実にしゃれた愛の歌になりました。
詩人のアンドレ・ジローは調べましたが経歴が不詳とのことでしたので歌詞を掲載させて頂き訳詞も付けました。
いくつか補足しますと、「お前の小指が」のところ、フランス語で小指を耳のところに立てると「秘密を知ってるよ Mon petit doigt me l'a dit.」という慣用的な表現になるのだそうで、これをもじって使っているのですね。また最後のéclatsには「かけら」と「輝き」という全く違った二つの意味がありどちらと読むのか迷うところでありましたが、両方取って実際はそういう意味はないようなのですが「流れ星」としてみました。詩人がこの言葉を選んだことで狙ったニュアンスもそこにありそうな気がしましたもので。

( 2007.11.17 藤井宏行 )


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