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Trois jours de vendange    
  Premier Recueil de 20 mélodies
ブドウ摘みの3日間  
     20のメロディー第1集

詩: ドーデー,アルフォンス (Alphonse Daudet,1840-1897) フランス
      

曲: アーン,レイナルド (Reynald Hahn,1875-1947) フランス   歌詞言語: フランス語


Je l'ai rencontrée un jour de vendange,
La jupe troussée et le pied mignon,
Point de guimpe jaune et point de chignon,
L'air d'une bacchante et les yeux d'un ange.
Suspendue au bras d'un doux compagnon,
Je l'ai rencontrée aux champs d'Avignon,
Un jour de vendange.

Je l'ai rencontrée un jour de vendange,
La plaine était morne et le ciel brûlant.
Elle marchait seule et d'un pas tremblant,
Son regard brillait d'une flamme étrange *
Je frissonne encore en me rappelant
Comme je te vis, cher fantôme blanc,
Un jour de vendange.

Je l'ai rencontrée un jour de vendange,
Et j'en rêve encore presque tous les jours:
Le cercueil était couvert en velours,
Le drap noir portait une double frange.
Les soeurs d'Avignon pleuraient tout autour.
La vigne avait trop de raisin
L'Amour avait fait la vendange.

ぶどうの収穫の頃、ぼくは彼女に会った
スカートをたくし上げ、足をむき出しに
黄色のヴェールもせず、髪を纏め上げもせず
バッカスの巫女のような姿に天使の瞳
恋人の腕にもたれかかっていた
ぼくは彼女に会った、アビニョンの畑で
ぶどうの収穫の頃

ぶどうの収穫の頃、ぼくは彼女に会った
野原は陰鬱で、空は燃えていた
あの子はひとりで歩いてた、震える足取りで
彼女の眼差しは不思議な炎で輝いていた
今でもぼくは思い出すと震えがくる
君がどんな風に見えたか、愛しい白い幽霊よ
ぶどうの収穫の頃

ぶどうの収穫の頃、ぼくは彼女に会った
ぼくは今でも、毎日のように夢に見る
棺はビロードで覆われ
黒い覆い布はふたつの折り目が付いていた
アビニョンの娘たちはそれを取り巻き泣いていた
ぶどうの木にはあまりに多くの実がなりすぎて
愛はその収穫を終えてしまっていた


アルフォンス・ドーデといえば「最後の授業」でしょうか、それとも「水車小屋便り」でしょうか。小学校の国語の教科書以来ついぞ目にしたことのないこの作家の名前をこうしてアーン歌曲集の中に見つけると大変に感慨深いものがあります。アーンが神童として活躍しだした頃にはもう大文豪だったわけですが、この若いアーンに舞台での音楽を委嘱したりしていたのだそうです。
この歌に使われた詩も、詳しいディテールはわかりませんがひとつの小説を見るかのようなドラマチックな展開。まあ内容的には陳腐と言えなくもない筋ですが、最初のピアノに現れる陽気なパッセージが暗転したあとも繰り返し現れるのはなかなかに印象的な歌です。とりわけ冒頭のさわやかなメロディが印象的。彼の作品の中で飛び抜けて素晴らしいものというわけでもありませんが、意外とよく取り上げられるのを聴くことができます。

( 2007.11.09 藤井宏行 )


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