世界唱歌(上) |
|
世界に多き國國の 人の風俗(ならはし)世の姿 異る節をみきはめて やがて御國の土産(つと)にせん 陸(くが)に蜘蛛手の汽車のみち 海に汽船のたよりさへ 思ひの儘の大御代に 憂きこと知らぬ今日の旅 波止場に立ちて見渡せば 横濱港(みなと)波しづか 見送る友をあとにして 端舟(はしけ)の綱は解かれたり (中略) コロンブス氏にちなみある ゼノアを過ぎて行く北は 雪を戴くアルプスの 峯うちこえて瑞西(スイツツル) 山また山にかこまれて 土地はまことに狭けれど いそしむ民が心こそ 時計の針とあらはるれ 山の姿も秀でつつ 水の心もすみたれば ゼ子バの岸に立つ人は 歸(かへる)さ忘れて遊ぶなり |
|
汽車の旅(国内旅行)とならんで同じ与謝野・奥コンビの世界の旅 横浜港を船出してホノルル→サンフランシスコ→メキシコから南米最南端まわりでリオ・デ・ジャネイロ→再び北米に戻りワシントン&フィラデルフィア&ニューヨーク&ボストン→シカゴ&ナイヤガラ→なぜかオマハ→オグデン&ソルトレーク→サクラメント→サンフランシスコと合衆国を横断して戻り、シアトル→バンクーバー→オタワ&ケベック&セントジョンと今度はカナダ横断→大西洋を越えてアイルランドへ→リバープル→ロンドン→ベルギー→オランダ→プロシャ(ベルリン)→デンマーク→ノルウェー→フィンランド→サンクトペテルブルグ→モスクワ→オデッサ→黒海からドナウ川を遡ってウィーン→トルコ→イタリア(ローマ&ジェノバ)→スイスアルプスへといたるところで(上)巻は終わります。できるだけ色々回ろうと相当に複雑なコース選択が興味深い ここまでで79節の膨大な歌詞です。興味がお有りの方は国会図書館アーカイブをご覧ください。
( 2021.06.20 藤井宏行 )