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Fagnes de Wallonie   FP 107  
  Banalités
ワロニーの沼地  
     月並み 

詩: アポリネール (Guillaume Apollinaire,1880-1918) フランス
    Banalités  Fagnes de Wallonie

曲: プーランク (Francis Poulenc,1899-1963) フランス   歌詞言語: フランス語


Tant de tristesses plénières
Prirent mon coeur aux fagnes désolées
Quand las j'ai reposé dans les sapinières
Le poids des kilomètres pendant que râlait
le vent d'ouest.

J'avais quitté le joli bois
Les écureuils y sont restés
Ma pipe essayait de faire des nuages
     Au ciel
Qui restait pur obstinément.

Je n'ai confié aucun secret
sinon une chanson énigmatique
Aux tourbières humides

Les bruyères fleurant le miel
Attiraient les abeilles
Et mes pieds endoloris
Foulaient les myrtilles et les airelles
Tendrement mariée
   Nord
   Nord
La vie s'y tord
En arbres forts
   Et tors.
La vie y mord
   La mort
À belles dents
 Quand bruit le vent

たくさんの溢れかえる悲しみが
ぼくの心を捕まえた、この荒れ果てた沼地で
何キロも歩いて疲れ果てたぼくの体を
モミの木の森に休めていたときに
西から激しい風が吹いていた

ぼくは美しい森を出てしまっていたが
リスたちはそこに残っていた
ぼくのパイプは雲を作ろうとしていた
     この空に
いつまでも澄み切っている空に

ぼくは秘密を隠したままだ
なぞめいた歌を歌って聞かせるだけだ
このじめじめした沼の土にむかって

荒地に咲く花の蜜の香りは
ミツバチたちを引き寄せ
ぼくの痛む足は
苔桃を踏みつけた
優しく結ばれた
    北の地
    北の地
生命は身をよじり
力強い木になり
    身をよじり
そこで命を噛みちぎる
    死
美しい歯で
 風が吹きすさぶときに


多彩な表情を見せてくれるこの歌曲集の中で、この曲が一番典型的なプーランクの快活さが出ているようで楽しく聴けます。早口でまくしたてるように聴かれるフランス語の響きは絶妙ですし、メロディの流麗さも溜息もの。次の曲「パリ」もそんな楽しさはありますが、いかんせん曲が短すぎますし、プーランクの個性だけでない別の魅力が混じり過ぎています。アポリネールの詩は言葉の断片を散りばめて不思議な余韻を残して終わります。これが詩の中にある「なぞめいた歌」なのでしょうか。あまり快活な内容の詩ではないのですけれども、音楽は流麗なのがまた不思議。

ワロニーというのはベルギーの一地方の地名で、沼沢地帯なのだそうです。

( 2007.11.09 藤井宏行 )


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