茶目子の一日(上) |
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夜が明けた 夜が明けた 夜が明けた 夜が明けた 夜が明けた 夜が明けた 夜が明けた 夜が明けた もう夜が明けた もう夜が明けた 明けた明けたと早起の 雀はお庭の松の木で チュッチュク チュッチュク チュッチュク チュッチュク 唱歌のお稽古 お隣の物干の上から お天道様が 真赤なお顔をチョイと出して 茶目ちゃんお早う 御機嫌よう 向こうの横丁から いつものお婆さんが 「納豆 納豆 納豆 納豆味噌豆ェ」 とやってくる 母 「さあさあさあ 茶目子さん もう七時ですよ 学校がおくれますよ」 茶目子 あら あたしまだ眠いわお母さま お早うございます 母 「さあ 着物を着てしまったら早くお顔を 洗っていらっしゃい。」 茶目子 はい 水道の冷めたいお水を金だらいへ ザブザブザアッと汲みこんで ライオン歯磨で歯を磨き シャボンの泡(あぶく)をタオルへつけて ポロリンと洗えばお顔はさっぱり 今度はハッキリ眼が覚めた 母 「さあ ごはんができていますよ 早くおあがりなさい」 茶目子 ああいそがしい いそがしい いただきます お膳の上には お茶碗とお箸 赤い箸箱 小さなお椀 お椀の中には私の好きな 卵のお汁が入ってます お汁はごはんにかけたいけれど なかなか熱くて食べられない やっぱり別々に食べましょう お皿にあるのは葡萄豆 同じ豆でも納豆は 私にはくさくて食べられない 豆を食べたらその次は たくあんのお香々 お茶漬さらさら お香々ばりばり サラサラバリバリ もうたくさん 母様ごちそうさま オオ苦しい |
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昭和の初めから童謡歌手として活躍し、長じては流行歌の歌手としていくつものヒットを飛ばした平井英子さんが今年2月に104歳の大往生を遂げられたというニュースがつい最近流れてきました。童謡歌手時代の最大のヒットはこの「茶目子の一日」でしょうか。1919年に作られ、同年日本最初にレコード吹き込みされた童謡としても有名ですが、この平井が吹き込んだ1929年(昭和4年)のリメイク版がもっともよく知られているでしょう。全部で6分近くかかる長大な歌ですので当時のSPでは表裏それぞれに上下を分けて録音しておりました。上の方の歌は昔山野楽器より出ていた「浅草オペラ 華ひらく大正ロマン」という復刻CDに収録されていた歌詞テキストを転載させて頂きました。
( 2021.06.05 藤井宏行 )