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風に寄せて    
 
 
    

詩: 立原道造 (Tachihara Michizou,1914-1939) 日本
    風に寄せて その一 

曲: 高木東六 (Takagi Touroku,1904-2006) 日本   歌詞言語: 日本語


さうして小川のせせらぎは 風がゐるから
あんなにたのしく さざめいてゐる
あの水面のちひさいかげのきらめきは
みんな風のそよぎばかり......

小川はものをおし流す
藁屑を 草の葉っぱを 古靴を
あれは風がながれをおして行くからだ
水はとまらない そして 風はとまらない

水はふいに身をねじる 風はしばらく水を離れる
しかしいつまでも川の上に 風は
ながれとすれずれに ひとつ語らいをくりかえす

長いながい一日 薄明から薄明へ 夢と晝の間に
風は水と 水の翼と 風の瞼と 甘い囁きをとりかはす
あれはもう叫ぼうとは思はない 流れて行くのだ



( 2021.05.29 藤井宏行 )


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