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Höstkväll   Op.38-1  
  5 Laulut
秋の夕べ  
     5つの歌

詩: リュードベリ (Viktor Rydberg,1828-1895) スウェーデン
    Dikter  Höstkväll

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: スウェーデン語


Solen går ned,
Och molnen vandra med vefullt sinne
Hän öfver skummande sjö,
Öfver susande skogars skymning.
Måsen skriar på ödsligt skär
Falken dväljes i klyftans skygd
Trött att jaga han gömt sin näbb
Vingens af skurar tyngda dun.

Solen gick ned,
Det mörknar allt mer öfver moens furor,
Mörknar om bergen,
Där ränniln suckar i ljung ock mossa.
Tvinsjukt dröjer
Ett gulblekt sken öfver västliga kullars rand.
Dagens hviskande afsked tonar
Sorgset i tätnande skuggor bort.

Regnets fall på hällarna
Sollar af vemods sägner
Födda af molnens
jordkringsväfvande skumma tankar;
Sjöns emot stranden brutna våg
Brusar af dunkla ödens gång
Röster,skälfvande hemskt af smärta,
Ropa i stormen ur skogens djup.

Ensam ute i öde nejd
mot fuktig klippa lutad,
Står förtrollad en vandrare,
Lyss och njuter.
Känner hans själ en samklang med sången,
Som höjes af stjärnlös natt?
Dör hans ve som en sakta ton
I höstens väldiga sorgedikt?

太陽が沈んでいく
そして雲は漂う 悲しそうな様子で
波立つ湖の上や
夕暮れにざわめく森の上を
カモメが寂しい岩礁の上で叫ぶ
タカは谷間に身を潜めている
狩に疲れて、くちばしを休めているのだ
雨の中重くなったその翼の中に

太陽が沈んでしまった
荒れ地の松の上に暗闇が迫り
山々の周りも暗くなる
小川はヒースや苔の中で溜息をつく
残光が残っている
西の方の丘のへりを彩っている
一日に別れを告げるささやきの音は
濃くなる暗闇の中へと悲しく消えて行く

岩の上に降る雨は
悲しい物語をつぶやいている
雲の生み出した
大地を包み 暗く漂う思い
湖の波は岩にあたって砕け
陰鬱な運命を嘆く
声は、青ざめて疼みに震え
森の奥から嵐の中を叫ぶ

ひとり表で この運命の場に
湿った岩に身をもたせかけ
魅せられて立つのはひとりの放浪者
喜びに満ちて耳を傾ける
彼の魂は歌との調和を感じるのだろうか
星のない夜に湧き上がる歌と?
彼の悲しみは息絶えるのか 穏やかな響きのように
この秋の大いなる嘆きの歌の中で?


暗く厳しい音楽の多いOp.38の歌曲集の最初を飾るこの曲も、北欧の冷たく厳しい秋を描写している曲です。この歌曲集、その5曲のうちの4曲の歌詞をスウェーデンの詩人リュードベリのものから取っています。いずれも荘重で厳しいものが選ばれていますので、そんなあたりも全体の歌曲集のカラーに寄与しているのかも知れません。
この歌曲も秋の寂しい情景。北欧の秋だからでしょうか、描写は恐ろしいほどに寒々としています。この曲とほぼ同時期の傑作であるヴァイオリン協奏曲を思わせるほの暗い瞑想が次々とめくるめいてくるのは圧巻。管弦楽伴奏にも編曲されていて彼の交響作品を好まれる方にも楽しんでお聴き頂ける作品になっているようにも思えます。
次の曲「海辺のバルコニー」とも非常に雰囲気はよく似ていますが、ちょっとこちらの方が長大すぎるのが難点でしょうか。どちらも傑作なのですがこの曲はじっくり聴き込むのにはかなりパワーが要ります。

( 2007.11.01 藤井宏行 )


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