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Eros   Op.70-1  
  Fem Digte af Otto Benzon
エロス  
     オトー・ベンソンの詩による5つの歌曲

詩: ベンゾン (Carl Otto Valdemar Benzon,1856-1927) デンマーク
      Eros

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: ノルウェー語


Hør mig,I kølige hjærter i Nord,
I som vil Fryd i Forsagelsen finde,
I går i blinde,I går i blinde,
vil plukke Roser,hvor Roser ej gror.
Årene rinde Kræfterne svinde,
hvor er vel Sneen som faldt ifjor?
Ej I det Tabte tilbage vinde.
Læg Jer på
Sinde da mine ord:

favne hende,som helt gav sig hen,
hende,hvem helt du dig gav igen,
favne hende med al den Ild,
al den Livets luende Lægsel,
som i ditt bankende Hjærte bor,
det er det største,nej mere end det!
Det er den eneste virkelig store
Lykke på Jord.


聞くのだ、北の冷たい心たちよ
自分を否定して喜んでいる者たちよ
何も見ようとせず 何も見ようとせず
バラの咲かないところでバラを摘みたがっている
時は過ぎ行き、力は衰えていくのだ
去年積もった雪はどこにある?
ひとたび無くしたものはもう戻らない
だから心して聞くのだ 
私の言葉を:

抱くのだ、お前に心を捧げる女を
女を、お前の心も捧げるのだ
抱くのだ、彼女を炎の情熱を持って
お前の生命の燃え上がる熱情を持って
そこにこそお前の脈打つ心臓は生きるのだ
これこそがこの上もない至高のこと
これこそがただひとつの、真に偉大なこと
この地上での幸せなのだ


グリーグ最後の歌曲集Op.70の6曲の中では最も良く取り上げられ、比較的耳にすることの多い作品です。
管弦楽伴奏の版もあるせいか特に北欧出身のワーグナー歌手はこの歌がお好きなようで、男女問わず良く取り上げます。私もメルヒオールやフラグスタートの歌を何度か聴いておりました。
ただ私も歌詞を見たのは訳そうと思ってからが初めて...

いやはや、凄い歌ですね。まあタイトルがタイトルですから予想しなければならなかったのでしょうけれど。また北欧のワーグナー歌いたちが愛唱していることからもこういう歌であることは。しかしグリーグ晩年の歌曲であるということを思うとちょっと意外な感じの作品ではあります。最後などはワーグナーのタンホイザー、あのヴェーヌスの誘惑の場面の雰囲気なども思わせて濃密、歌詞と一緒に聴くとかなり強烈な印象です。

( 2007.11.03 藤井宏行 )


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