TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Giorno per giorno    
  Tre Liriche di Tagore
毎日毎日...  
     3つのタゴールの詩

詩: 不詳 (Unknown,-) 
      Day after day he comes and goes away 原詩: Rabindranath Tagore タゴール,The Gardener(園丁),20

曲: アルファーノ (Franco Alfano,1876-1954) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Giorno per giorno egli viene,
Egli viene,e poi sen va!
Tieni amica,dagli un fiore,
Questo fior che ho tra i capelli!
Se ti domanda chi glielo dona,
Oh! No! non dirgli,no,
Non dirgli il nome mio,ti prego,
Perchè egli non fa che venir...
Che venire e andarsene!

Si siede in terra sotto l'albero,
Fagli un sedil di foglie e fiori!
I suoi occhi son tristi
E portan la malinconia nel cor.
Ei non rivela il suo pensiero,
Vien soltanto,e poi sen va.

Giorno per giorno egli viene,
Egli viene,e poi sen va!
Tieni amica,dagli un fiore,
Questo fior che ho tra i capelli!
Se ti domanda chi glielo dona,
Oh! No! non dirgli,no,
Non dirgli il nome mio,ti prego,
Perchè egli non fa che venir...
Che venire e andarsene!


毎日毎日あのひとはやってきて
やってきてまた行ってしまう
お友達よ、あのひとに花をあげて
髪に挿したこの花をあげて
もしも花をくれたのが誰かと聞かれても
お願い、けっしてあの人には言わないで
けっして私の名前を、お願い
だってあのひとはやってきて
やってきてそして行ってしまうだけなんだから

あのひとが木の下に座ったら
木の葉と花で椅子を作って
あのひとの目は悲しげで
心に憂いを帯びている
でも自分の気持ちは決して明かさないの
ただやってきて、そして行ってしまうだけ

毎日毎日あのひとはやってきて
やってきてまた行ってしまう
お友達よ、あのひとに花をあげて
髪に挿したこの花をあげて
もしも花をくれたのが誰かと聞かれても
お願い、けっしてあの人には言わないで
けっして私の名前を、お願い
だってあのひとはやってきて
やってきてそして行ってしまうだけなんだから


プッチーニの最後のオペラ「トゥーランドット」を補筆完成させた作曲家として知られるイタリアのオペラ作曲家アルファーノには、インドの国民的詩人ラビンドラナート・タゴールの詩に付けた歌曲が結構たくさんあります。イタリアの近代作曲家はよほど彼の詩が好きなのか、カゼッラやレスピーギなども曲を付けていますが、アルファーノのこの詩人への偏愛ぶりは際立っており、彼の詩に付けた曲は全部で十数曲はあるでしょうか。
アルファーノの歌曲をまとめていくつか聴いてみると、その斬新な和声と内省的なメロディに彩られ、まさにイタリアのベルク、といった感じのスタイルが印象的です。その意味では現代歌曲の系譜に繋がる作曲家なのですが、そこはカンタービレの国イタリア、決して難解な作品になっていないのはさすがです。
彼の補作したプッチーニのオペラ「トゥーランドット」は、最近同じイタリアの現代作曲家ルチアーノ・ベリオの補作版が出て、その前衛的な響きに引き比べるとアルファーノのものはなんとも古めかしく聞こえてしまったりするのですが、こと歌曲を聴く限りでは結構先鋭なのではないかと私などは感じます。もっともそこがこの人の歌曲をあまりポピュラーにしない理由なのかも...

ここではそんな中から1曲、しみじみとした詩に、アルファーノにしては素朴なメロディを付けた「毎日毎日」を取り上げます。これは彼の歌曲にしても少々異色で、非常に親しみやすい佳曲です。
ただ伴奏のピアノは斬新な和声を響かせ、昔ながらの歌とは一線を画し、東洋情緒のような、古典歌曲のような不思議な雰囲気が癖になりそうです。 イタリア語の詩の翻訳者は不明なようなので、原作者タゴールの著作権が日本で切れておりますこともありここで歌われる原詩を掲載させて頂きます。

不思議なことに私は彼の歌曲作品を日本人歌手の歌声でしか聴いたことがありません。日本の声楽界ではイタリアの声楽曲を学習用として重視しているからでしょうか、イタリアのCDレーベルでもなかなか見かけないような作曲家の歌曲を日本の歌手がたくさん録音していたりして大変面白いのですが、そうでなければ聴くことができないような作品を聴ける機会はやはり大事にしないとなりませんね。
この「毎日毎日」の録音は2種類。ピアニスト&教育者としても有名だったピュイグ・ロジェの伴奏にソプラノの嶺貞子が歌ったしみじみと繊細な歌(Fontec)、彼女のイタリア近代歌曲集は清楚な声がレスピーギやピツェッティ、カゼッラなどイタリアの新古典主義者たちの歌に不思議な相性の良さを醸し出して飽きさせません。
そして入手は困難かも知れませんが、このアルファーノの歌曲を20曲も録音している増山美知子(Sop)・三谷温(Pf)のアルファーノ歌曲集(Columbia)のこだわりに満ちた歌。もし見つけられればこの曲だけでなくアルファーノの不思議なスタイルを堪能してみてください。

詩はタゴールの詩集「The Gardener」の20番目の詩から。もともとはベンガル語ですが、英語の訳もProject Gutenbergにありましたので(Paavo Cajander 1846-1913 による)こちらを以下に掲載します。

Day after day he comes and goes away.
Go,and give him a flower from my hair,my friend.
If he asks who was it that sent it,I entreat you do not tell him my name
--for he only comes and goes away.

He sits on the dust under the tree.
Spread there a seat with flowers and leaves,my friend.
His eyes are sad,and they bring sadness to my heart.
He does not speak what he has in mind; he only comes and goes away.

( 2004.03.02 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ