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Malìa    
 
魅惑  
    

詩: パリアーラ (Rocco Emanuele Pagliara,1856-1914) イタリア
      

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Cosa c'era ne 'l fior che m'hai dato?
forse un filtro,Un arcano poter?
Nel toccarlo,il mio core ha tremato,
m'ha l'olezzo turbato il pensier.
Ne le vaghe movenze,che ci hai?
Un incanto vien forse con te?
Freme l'aria per dove tu vai,
spunta un fiore ove passa 'l tuo piè.

Io non chiedo qual plaga beata
fino adesso soggiorno ti fu:
non ti chiedo se Ninfa,se Fata,
se una bionda parvenza sei tu!
Ma che c'è nel tuo sguardo fatale ?
Cosa ci hai nel tuo magico dir?
Se mi guardi,un'ebbrezza m'assale,
Se mi parli,mi sento morir!

何が隠れていたのか あなたのくれたこの花には?
もしかして惚れ薬、それとも神秘の力なのか?
この花に触れたとたん ぼくの胸は震え
この花の香りは ぼくの頭をかき乱すのだ。
あなたのしぐさには 何が隠れていたのか?
素敵な魔法を あなたは持ってきたのか?
あなたの行くところでは空気も震え
花が咲き出でるのだ あなたの通った足元からは

ぼくはたずねまい どんな幸福な場所に
今まであなたが住んでいたのかなどとは
決してたずねまい ニンフかフェアリーか
あるいは 金色の髪をした幻のどれがきみなのかとは!
だがきみの運命的な眼差しの中には何があるのだろうか?
きみの魔法の言葉の中には何があるのだろうか?
きみがぼくを見るとき、喜びが体を駆け巡り
きみがぼくに話しかけるとき ぼくは天に昇る思いなんだ!


恋の魔法にかかった若者の気持ちを実に見事に描き出しています。夢見るような3拍子で心のときめきを表すところも見事。トスティの歌曲の中でも傑作のひとつでしょう。イタリア語に詳しくない私はこの曲のタイトルMaliaを見て、マリアという恋人を歌ったのかと最初思っておりましたが、よく考えてみるとあの綴りはMariaですから全然違いますね。
歌詞は少々訳しにくかったのですが、まあ何とか見るに耐えなくもない程かとは思いましたのでUPします。何より先日死去したパバロッティの歌うこの歌が実に素晴らしかったものですから,,,
屈託のない恋の歌を歌わせたらこの人ほど幸せな気持ちに聴き手を誘ってくれる歌手はなかなかいないと思います。トスティの歌曲でも田舎臭い情熱の恋を歌った「マレキアーレ」や、イタリア版「愛と死」とも言える耽美的で情熱的なダヌンツィオの詩に付けた「暁は光と闇を分かち」、あるいは春の爆発する喜びを歌う「四月」、そしてご紹介したこの曲などは絶品でした。思いもかけず貰った花を見つめながら急に湧いてきた恋心に戸惑っている、そんな心のときめきが聴いていて伝わってきます。オペラだけではない彼の魅力をしみじみと堪能させて頂きました。

この詞を訳していて面白かったのは、日本語では同じ妖精と訳しますが、そう言えば「エルフ」と「ニンフ」の二つが対応しているなあ、ということを改めて気付かされたこと。どう日本語にしようか散々悩みましたが結局英語のエルフとニンフをあてました。両者がどう違うのかまでは調べておりません。また不得手なイタリア語なので他にもとんでもない誤訳をしているところもあるかも知れませんがどうぞご容赦ください。

( 2007.09.06 藤井宏行 )


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