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En slända   Op.17-5  
  7 Laulut
トンボ  
     7つの歌

詩: レヴェルティン (Oscar Levertin,1862-1906) スウェーデン
      En slända

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: スウェーデン語


Du vackra slända,som till mig flög in,
När tyngst min längtan över boken drömde,
Du kom med hela sommarn till mitt sinn.
Du kom och jag allt gammalt svårmod glömde.
Blott dig jag såg,min dag jag lycklig dömde,
du vackra slända.

Men bäst jag jublade att du var min
Och livets skänk I sång pä knä berömde,
Du flög den samma väg som du kom in,
du trolska slända.

All avskedsgråt i välgångsord förrinn!
Ej beska fanns I bägarn,som vi tömde
Att du var sol,jag skugga blott vi glömde.
Flyg ljus,fly blå,än sommarlycka finn,
Välsignade,som en gäng varit min,
min vackra slända.

君よ 美しいトンボよ 君は私の方へと飛んできた
私の願いが本を眺めながら夢を見ていたときに
君は夏と一緒に 私のもとへとやってきた
君が来て 私は昔の憂いをすべて忘れたのだ
君を見ただけで 私の日々は幸せだと思った
君よ 美しいトンボよ

だが君が私のものになったと最高に喜んでいたとき
そして生命の贈り物を歌で膝で味わっていたとき
君は飛び去った、来たときと同じように
君よ 魅惑に満ちたトンボよ

別れの涙がさよならの言葉を湿らせたのだ!
私たちが飲み干した盃には苦味はなかった
君が太陽で 私が影でしかないことを私たちは忘れていた
元気に飛べ 青空を飛べ 夏の幸せを見つけ出せ
神様に愛され、一度は私のものであった
私の美しいトンボよ


北欧の短い夏の美しさを実に見事に表現した作品ではないでしょうか。日本での感覚でいえばこれは秋の風景ですが、焼け付くような暑さのたぶんないであろう北欧では同じような感覚を夏に対して持っているのだと思います。もっとも8月ともなれば日本でもたくさんトンボは飛んではいますから、けっして夏の歌としても違和感があるわけではありません。うちの近所の公園もトンボが飛び回っています。ただ暑くてこの詩のようにあまり昼間外でぼんやりしていることはありませんけれども。
トンボふぜいに「君」なんて敬称をつけるのは何事だ、と日本語にうるさい方は感じられるのかも知れませんが、どうもこの歌の冒頭の呼びかけのDuをお前、とするのがしっくりとこなかったので、ひと夏の恋人との出会いと別れっぽくまとめてみることにしました。
シベリウスの歌曲は非常にメロディアスなものと、それから朗唱風のある意味地味なものとがありますがこれは後者。非常に渋い音楽です。ですが上手に歌われると味わいの深さは格別。フィンランド出身のソプラノ、ソイレ・イソコフスキの愛唱歌のようで、彼女のリサイタルでは良く取り上げられるようですし、その見事なライブ録音があります。
BISの歌曲集にあるフォン=オッターの歌も見事。Deccaの歌曲全集のゼーダーシュトレームも余韻に満ちた歌でなかなか好ましいです。歌詞を見る限りでは男声でも歌って良さそうな感じですが、女声が多いのは何か理由があるのでしょうか。

( 2007.08.26 藤井宏行 )


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