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ビール樽    
 
 
    

詩: 北原白秋 (Kitahara Hakusyuu,1885-1942) 日本
      ビール樽

曲: 橋本國彦 (Hashimoto Kunihiko,1904-1949) 日本   歌詞言語: 日本語


ころがせ ころがせ ビール樽
赤い落日(いりひ)の なだら坂
止めても止まらぬ ものならば
ころがせ ころがせ ビール樽
ころがせ ころがせ ビール樽



これは資料に当たらずにうろ覚えの記憶で書いておりますので間違っていたらご指摘をお願いしたいのですが、この歌はビール好きだった詩人白秋が酒場で歌った鼻歌を橋本国彦が採譜して編曲したものだと言われています。確かに音楽としても素朴この上なく、酔いに任せて即興で湧いて出た詞とメロディという感じがしますし、歌詞もあまり深い意味はなくて、語呂の良さで押し切ったという印象です。
ただ「ビール樽」という言葉が鮮烈で、また橋本の編曲?もこの歌をたいへん近代的な雰囲気にすることに成功しています。非常に短い曲ですが延々とこの歌のリフレインが続いていくのは和製ミニマルミュージックの先駆け(本家アメリカよりもずっと早いですが)という感じがしてインパクトは凄いものがあります。
宴会ソングというよりは、酔いが回って頭の中でぐるぐると妄想が湧き出てくるイメージ。夕日の射す坂道をごろごろとゆっくり転がる大きな樽の情景はなんとも不思議です。白秋存命中の作品でしょうから昭和5〜6年頃でしょうか。
残念ながら戦後早くに亡くなった橋本作品の常で、今ではあまり取り上げる人も多くないようですが、ダークダックスの愛唱歌のひとつのようで彼らの録音は今でも聴くことができます。

( 2007.08.26 藤井宏行 )


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