あばずれ女の亭主が歌った |
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おまえはおれを愛してる、一度とて おれを憎んだためしはない おれもおまえを愛してる。前世から さだまっていたことのよう そして二人の魂は、不識(しらず)に温和に愛し合う もう長年の習慣だ それなのにまた二人には ひどく浮気な心があって いちばん自然な愛の気持を 時にうるさく思うのだ 佳い香水のかおりより 病院の、あわい匂いに慕いよる そこでいちばん親しい二人が 時にいちばん憎みあう そしてあとでは得態(えたい)の知れない 悔(くい)の気持に浸るのだ ああ、二人には浮気があって それが真実(ほんと)を見えなくしちまう 佳い香水のかおりより 病院の、あわい匂いに慕いよる |
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( 2021.02.18 藤井宏行 )