別れの唄 |
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このまま別れて それでよけりゃ 気強いおまへは さすが男よ いえ いえ わたしは別れられぬ 別れられぬ 女子(おなご)を見捨てて 寢ざめよけりや つれないお前は さすが男よ いえ、いえ、わたしは泣けてしまふ 泣けてしまふ 唇さしあて、泣いたものを 忘れるお前は さすが男よ いえ、いえ、わたしは忘れられぬ 忘れられぬ この眼を、この手を、この心をも 振り切るお前は さすが男よ いえ、いえ、わたしははなしませぬ はなしませぬ それでもゆくなら わかれませうが 気儘なお前は さすが男よ いえ、いえ、わたしは死んでしまふ 死んでしまふ |
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北原白秋−中山晋平コンビの1919年の劇音楽「カルメン」の挿入歌のひとつ。ビゼーのオペラだと第2幕でつれなくされたカルメンが怒りをぶつけ、それにホセがすがりつく「花の歌」に相当するシーンでしょうか。晋平のつけた曲の方は舞台では使われず、流行歌としてはやったようですが、第二次大戦後まもなく、まだ若き大中恩によって合唱曲に生まれ変わりました。もともとの小唄スタイルの歌詞にとても洒落たメロディがついて不思議なミスマッチ感が出ていますが面白い仕上がりの曲になりました。
( 2021.02.06 藤井宏行 )