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Blåbær-Lid   Op.67-3  
  Haugtussa
ブルーベリーの丘  
     山の娘

詩: ガルボル (Arne Garborg,1851-1924) ノルウェー
    Haugtussa - 9. Súmar i fjellet 6 

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: ノルウェー語


Nei sjå,kor det blåner her!
No må me roa oss,Kyra!
Å nei,slike fine Bær,
og dei,som det berre kryr a'!
Nei Maken eg hev kje set!
Sumt godt her er då til fjells.
No vil eg eta meg mett;
her vil eg vera til Kvelds!

Men kom no den Bjønnen stor!
- Her fekk bli Rom åt oss båe.
Eg torde kje seia eit Ord
til slik ein røsjeleg Våe.
Eg sa berre: “ver so god!
No må du kje vera bljug!
Eg lêt deg so væl i Ro;
ta for deg etter din Hug.”

Men var det den Reven rau,
so skuld' han få smaka Staven;
eg skulde banka han dau,
um so han var Bror til Paven.
Sligt skarve,harmelegt Sleng!
Han stel både Kje og Lam.
Men endå so fin han gjeng
hev korkje Agg hell Skam.

Men var det den stygge Skrubb,
so arg og so hôl som Futen,
eg tog meg ein Bjørkekubb
og gav han ein god på Snuten.
Han reiv sund Sauer og Lam
for Mor mi so trådt og tidt;
ja sant! um han berre kom,
skuld' han so visst få sitt.

Men var det den snilde Gut
der burte frå Skare-Brôte,
han fekk vel ein på sin Trut,
men helst på ein annan Måte.
Å Tøv,kva tenkjer eg på!
Det lid nok på Dagen alt...
Eg må til Buskapen sjå;
ho “Dokka” drøymer um Salt.

ご覧なさいよ ここはなんて青々としてるのかしら!
さあ休みましょう あたしの牛たち!
ああ なんて立派なブルーベリー
それにたくさん あたり一面!
いいえ こんなの見たことないわ!
山ってなんて素敵なんでしょう
さあ おなかいっぱい食べましょう
ここに夕暮れまでいることにしましょう

でももしも今、大きなクマさんがここに来たらどうしましょう!
ここにはあたしたちふたりにも十分な場所があるし
私はひとことだってお話ししたいとは思わないわ
そんな大きな体の向こう見ずに向かって
だからあたしは言うでしょう どうぞご自由に!
さあ そんなにもじもじしないで!
私はあなたをそっとしておいてあげますから
いくらでも欲しいだけお取りなさいって

でももしそれが赤いキツネなら
そいつは棒でぶたれるのよ
あたしはそいつを死ぬまでぶつわ
たとえそいつが法皇様の弟だったとしてもね
あんな役立たずの 迷惑ばかりかける悪いやつ
あいつは子ヤギも 子ヒツジも盗むんだから
あいつの歩き方がどんなに上品でも
あいつは後悔してもないし恥ずかしいと思ってもないんだから

でももしそれが悪いオオカミだとしたら
代官様のように怒りっぽくてズルいオオカミなら
あたしは白樺の切り株を取りあげて
そいつの鼻先に一発食らわすでしょう
あいつはヒツジを子ヒツジをずたずたに引き裂いたの
私の母さんのを何度も何度も
そうよ!もしあいつがやって来たなら
あいつは必ずその報いを受けるのよ

でももしそれが素敵な男の子だったら
スカーレ-ブローテからきたあの人だったら
彼はその口にあるものを受けるのよ
でもあいつらとは全く別のやり方でね
おお バカみたい あたし何を考えてるのかしら!
日がすっかり暮れようとしてる
牛たちの面倒を見なければ
ドッカが塩のこと 夢見ているわ



詩集の第9番目のセクション「山の夏」では、ヴェズレモイはハイティーンの羊飼いの少年Jonと出会い、恋におちます。2番目の詩で出会って、そしてこの「ブルーベリーの斜面で」は6番目の詩にあたります。町の男の子はヴェズレモイがトロル(北欧の魔物)とか霊が見えるとかいうと馬鹿にするのですが、同じ山育ちのヨンはそんなことはありませんでした。2番目の詩でのふたりの会話で、Jonは「トロルは本当にいるのさ」とか返事をしているシーンがあるのだそうですので。
スカーレ-ブローテというのはこの少年の出身地ですがどうやら架空の地名のようです。そして最後のドッカというのは彼女が世話をしている雌牛のうちの一頭。彼女にとても良くなついているようで、この牛のことを歌った「ドッカ」という詩もこの詩集にはあります(このセクションの4番目)。あとの部分の解説は不要ですね。恋する少女の「会いたいなァあの人に」の素朴な気持ちの表現ですから。音楽は素朴な民謡風の有節歌曲。北欧らしさを満喫できます。暑い夏に聴くのにピッタリですね。

以下、このセクションの詩の題名を取り上げてみます。グリーグがここから集中して取り上げたのがお分かりかと思います。そしてここで恋のはじまりから終わりまでが一気に語られます。


Súmar i fjellet (山の夏)

1. På Fjellveg
   山道で
2.Den snilde Guten  (EG9)
   素敵な男の子:曲は完成。歌曲集には含まれず
3. Paa Gjætleberg-Nut
   イエートルの山頂で
4.?Dokka?
   ドッカ(お人形)〜ヴェズレモイが可愛がっている雌牛の名です
5.Veslemøy lengtar  (EG10)
   ヴェズレモイはあこがれる:曲は完成。歌曲集には含まれず
6.Blaabær-Lid   (3)
   ブルーベリーの斜面で:この歌曲集の第3曲(これです)
7.Møte       (4)
   デート:この歌曲集の第4曲
8.Killingdans    (6)
   子山羊の踊り:この歌曲集の第6曲
9.Elsk       (5)
   恋:この歌曲集の第5曲
10.Skog-glad    (EG11)
   森の喜び:作曲には着手したが完成せず
11.Eit Spursmaal
   疑問
12.Ku-Lokk     (EG12)
   牛が呼ぶ:曲は完成。歌曲集には含まれず
13.Vond Dag    (7)
   ひどい日:この歌曲集の第7曲
14.Ved Gjætle-Bekken  (8)
   イエートルの小川で:この歌曲集の第8曲

( 2007.06.30 藤井宏行 )


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