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田植唄    
 
 
    

詩: 林柳波 (Hayashi Ryuuha,1892-1974) 日本
      

曲: 橋本國彦 (Hashimoto Kunihiko,1904-1949) 日本   歌詞言語: 日本語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください


林柳波の詞につけた橋本國彦の歌曲としては「お六娘」が印象的でしたので既に取り上げておりますけれども、この「田植歌」もまたパワフルでユーモラスな曲で見逃せません。「揃た揃たよ 田のくろ道に」と始まる冒頭から日本民謡そのものなのですが、皆で寄り集まって田植をしている光景が目に浮かぶような音楽はさすがです。
とりわけ「たたたた揃った」と地口でリズムを取るところや「ほいきたお投げよ」と田んぼの中へと植えるための稲を放り投げる掛け声のところが大変なインパクト。関定子さんのパワフルな歌で聴くと思わず笑みがこぼれてしまいます。
昔は農村にも若い男女がたくさんいて、田植のように村総がかりで行うようなイベントにはワーッと寄り集まって相当盛り上がったのでしょう。今のように機械化されてひとりで田植機を回しながら植えるのと違って重労働ではありますがまさにお祭気分、学校の体育祭みたいな感じだったのでしょうね。
この歌でも村の若い女の子たちが勢ぞろいして一線に並んで田植をしている、本当に体育祭の競技みたいです。
稲に生命力を込めるためのある種のまじないとして、昔の田植はこんな若い女性たちの手によって行われたのだ、といいます。「早乙女」という言葉がこれを今に伝えているでしょうか。
歌では「秋の稲穂が実るころにはお嫁入り」、とありますから集団見合いのようなところもあったのでしょう。鬱陶しいところもあったのでしょうが、こういった濃密なコミュニティならではの楽しさのようなものも感じられます。

音楽は前奏でまるまる1曲のメロディを提示してから歌に入ります。そんなところも異色。
藍川由美さんの歌も丁寧に歌われて好感が持てました。

( 2007.06.22 藤井宏行 )


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