TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Og jeg vil ha mig en Hjertenskjær   Op.60-5  
  5 Digte
それからぼく、彼女が欲しい  
     5つの詩

詩: クラーグ (Vilhelm Krag,1871-1933) ノルウェー
    Digte - Askeladdens viser  Og jeg vil ha mig en Hjertenskjær

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: ノルウェー語


Og jeg vil ha mig en Silkevest,
ja,ja en Silkevest.
Og jeg vil ha mig en snehvid Hest,
prustende snehvid Hest.

Og jeg vil ha mig en Stigebøil,
ja,ja en Stigebøil.
Og jeg vil ha mig en Bluse af Fløil,
en sølvknappet Bluse af Fløil.

En Heirefjær vil jeg ha i min Hat,
ja,ja i min røde Hat.
Og det skal være en Jonsoknat,
Gud,for en Jonsoknat!

Og jeg vil ha mig en Hjertenskjær,
ja,ja en Hjertenskjær.
Så svinger jeg Hatten med Heirefjær,
i Sadlen jeg løfter den Jomfru skjær,
og frem over dugvåde Marker det bær
den dejlige Jonsoknat!

それからぼくはシルクのチョッキが欲しい
そうそう、シルクのチョッキ
それからぼくは、雪のように白い馬が欲しい
鞭をあてて走る 雪のように白い馬

それからぼくは、ストラップが欲しい
そうそう ストラップ
それからぼくは、ベルベットの上着が欲しい
銀のボタンのついた ベルベットの上着が

アオサギの羽が欲しいなあ ぼくの帽子には 
そうそう ぼくの真っ赤な帽子に
そうして夏至の夜が来るのさ
神様 夏至の夜が来る

それからぼく、彼女が欲しい
そうそう 彼女
アオサギの羽は風になびいて
ぼくは馬の鞍に彼女を乗せるんだ
それから露に濡れる野原をぼくらは駆けるんだ
この素晴らしい夏至の夜に


シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を思い出すまでもなく、ヨーロッパの6月は恋の季節です。そして夏至の日は北欧ではクリスマスと並ぶ重要なお祭りの日のようで、そしてその前夜といえば日本でも男女の派手なデートの日と化しているかのようなクリスマスイブと同じく重要な恋のきっかけの夜なのですね。すでに取り上げている同じクラーグ/グリーグのコンビによる「待つ間に」でも夏至の夜の森での結婚式のことが歌われていましたが、こちらもそんな恋の歌。ただ残念ながらこの若者にはどうやら相手がいないようですね。
真夏の夜の見果てぬ妄想にふけっているかのようです。ただ音楽はユーモラスでとても健康的。最後など思い切り盛り上がって終わります。この情熱、作曲者の編曲ではないようですが管弦楽伴奏に編曲されたものがとても楽しいです。往年のドラマティック・ソプラノ、キルステン・フラグスタートの愛唱歌だったようで、Deccaにフィエルスタード/ロンドン交響楽団の伴奏で入れた1959年録音がありました。最後のブラスと打楽器の咆哮などグリーグらしからぬところではありますが捨てがたい味わい。彼女はマッカーサーのピアノ伴奏でも1937年に録音しており、EMIの復刻盤で聴くことができました。こちらも生き生きと歌われて素敵な演奏。BISではモニカ・グルーブの歌で収録されているものがありましたが、彼女のしっとり感のある歌声にはちょっとしっくりこないところがあります。魅力的ではありますが。
この詩の設定通り男声で歌われたものとしてはテノールのセヴェリンのもの(Danacord)がありました。こちらの軽やかさもなかなか良いです。

( 2007.06.23 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ