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Mens jeg venter   Op.60-3  
  5 Digte
待つ間に  
     5つの詩

詩: クラーグ (Vilhelm Krag,1871-1933) ノルウェー
    Digte - Sommersange  Mens jeg venter

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: ノルウェー語


Vildgjæs,Vildgjæs i hvide Flokker,
Solskinsvejr,
Ællingen spanker i gule Sokker,
fine Klær.
Ro,ro til Fiskeskjær,
lunt det er omkring Holmen her,
Sjøen ligger så stille.
Bro,bro brille.

Løs dit Guldhår og snør din Kyse,
du min Skat.
Så skal vi danse den lune,lyse
Juninat.
Vent,vent,til Sanktehans
står vort Bryllup med lystig Dans.
Alle Giger skal spille.
Bro,bro brille.

Vug mig,vug mig du blanke Vove
langt og let.
Snart går min Terne til Dans i Skove
søndagsklædt.
Vug,vug i Drøm mig ind,
hver tar sin,så tar jeg min,
hør,hvor Gigerne spille!
Bro,bro brille.

野ガモよ 野ガモ 白い群れ
お日様のまぶしい天気
子ガモは黄色い靴下でよちよち歩く
きれいな衣装を着て
漕ごう 漕ごう 魚のいる岩礁へ
小島に囲まれてここはとても素敵
海はとっても静かだし
ブロー ブロー ブリレ

きみの金髪を解いて、ボンネットの紐を緩めてよ
ぼくの愛しい人
そうしたら踊れるよ、暖かく明るい
この6月の夜に
待って 待って 夏至の夜までは
あたしたちの結婚式は 楽しいダンスと一緒
ヴァイオリンが一斉に鳴るのよ
ブロー ブロー ブリレ

ゆらして ゆらして 輝く波よ
ゆっくりと軽やかに
すぐにぼくの愛しい人は森に踊りにいくんだ
晴れ着を着て
ゆらして ゆらして 夢の中へ
みんな相手がいるんだから ぼくも相手を見つけるさ
お聴きよ なんて素敵なヴァイオリンだ
ブロー ブロー ブリレ



ユーモラスな詩にユーモラスな音楽。グリーグの歌曲の中でも特異な魅力をこの曲は放っています。
速くなったり遅くなったり、軽やかに跳びはねたりゆったりと流れたり、表情がくるくると変わるのも面白いところです。タイトルは邦題では「待ちながら」となっていることが多いようですが、この詩の意味をよく考えると「待つ間に」の方が良いのかな、と思いましたのでそうしました。あるいはドイツ語訳で歌われるこの曲のタイトルから「小舟にて」というタイトルで呼ばれることもあります。
山とフィヨルドの国ノルウェーらしいといいますか、海辺の岩礁での風景と森の中の結婚式の風景が同時に出てくるのも興味深いところです。梅雨のないヨーロッパでは夏至の頃というのが一番過ごしやすい気持ちの良い時期なのでしょう。June-brideという言葉もあります通りまさに結婚式に打ってつけのシーズンです。婚礼の日を待ち望みながら、幸せに浸っている情景をこの詩で歌っているのでしょうね。
最後の掛け声“Bro,bro brille”というのは童謡などでよく出てくる掛け声のようで、broというのは橋で、brilleというのは輝きとでもいうような意味のようですから「キラキラ橋よ」とてもいう感じでしょうか。
ここでは意味のない掛け声としてそのままにしておきました。
この曲は幸いにしてフォン・オッターがグリーグ歌曲集の中に入れてくれているので日本でも容易に聴くことができると思います。もうちょっと繊細なコケットリーがあったら最高だったのですが、それでもこの歌の演奏としてはたいへん見事だと思います。ドイツ語の詩で歌ったシュヴァルツコップのものもありましたが、これはもう完全に別の曲になっていますね。繊細なコケットリーという点では最高でしたが。

( 2007.06.16 藤井宏行 )


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