Veslemøy Op.67-2 Haugtussa |
ヴェズレモイ 山の娘 |
Ho er mager og myrk og mjå med brune og reine Drag og Augo djupe og grå' og stilslegt,drøymande Lag. Det er som det halvt um halvt låg ein Svevn yver heile ho; i Rørsle,Tale og alt ho hev denne døyvde Ro. Under Panna fager,men låg lyser Augo som bak ein Eim; det er som dei stirande såg langt inn i ein annan Heim. Berre Barmen gjeng sprengd og tung, og det bivrar um Munnen bleik. Ho er skjelvande sped og veik, midt i det ho er ven og ung. |
彼女は小柄で浅黒く細身 茶色の整った顔立ち そして深い灰色の眼 静かな夢見るような振る舞い それはまるで半分くらい 彼女に魔法がかけられているかのよう 身のこなし 話し方 すべてにおいて 彼女は抑制された穏やかさをかもし出す 美しいけれど狭い額の下に 彼女の眼は 霞がかかったように輝く それはまるで見つめているよう はるか遠い別の世界を 彼女の胸だけが 引き締まって重く 青ざめた口のまわりは震えている 彼女は震えるほどか細く繊細だ その上彼女は美しく若い |
ガルボリの詩集「山の娘」、2番目のセクションはVeslemøy synsk(ヴェズレモイは霊能者)です。霊能者っていうのは言いすぎで、正しくは「透視(霊視?)する」といったニュアンスかも知れませんがこの娘、霊感が強いみたいでこの詩集の中でも頻繁に霊の世界を垣間見ています。実は「山の娘」と訳されているHaugtussaというのが正確には「山の巫女」といいますか山に暮らすイタコみたいな女性のことをいうようなのです。そしてその2番目の詩をグリーグは取り上げて歌曲集の2曲目にしています。
そういうことを知ってからこの「ヴェズレモイ」の歌詞を読むと、ただ単に彼女の若い美しさを称えているわけではないことがよく分かりますよね。むしろなんだか毎晩真夜中に金縛りにあったりとか友達の背後霊が見えたりとかする楳図かずおの漫画に出てくるような少女の描写のように私には思えてきました。楳図かずおというのは言いすぎでも、京極夏彦などが書いているような、まだ人の世と物の怪や魍魎が一緒であった時代の少女の描写であることは間違いなく言えるでしょう。それは恐らく詩人のガルボリの時代においてさえも失われゆく昔のこととなっていたのだと思いますけれども。
Veslemøy synsk (ヴェズレモイは霊感少女)
1.Gamlemor ventar
懐かしい母が待つ
2.Veslemøy
ヴェズレモイ
3.Synet
幻視
4.Haugtussa
山の娘
ちなみにここからしばらくは歌曲集中に取り上げられた詩は現れてきません。以下セクションごとに詩のタイトルだけ挙げます。
冬になり、ヴェズレモイは悪魔に憑かれたのでエクソシストに助けられ、やがて再び春を迎えます。
Jol (クリスマス)
1.Ungdom
青春
2.Laget
パーティ
I Gjætlebakken (イエートルの丘)
1.Vindtrolli
風のトロル(魔物)たち
2.D'er kje greidt
天気の悪い日
3.Fuglar
鳥たち
4.Under Jonsok
夏至の日に
I Slaatten (牧草地で)
1.I Slaatten (EG6)
牧草地で :曲は完成・Op.67には含まれず
2.Veslemøy undrast (EG7)
ヴェズレモイはさまよう :曲はほぼ完成・出版はされているようである
Dømd (不運)
1.Dømd :曲は後半が完成・出版はされているようである
Dei vil ta henne (やつらは彼女を狙う)
1.Maaneskinsmøyane
月明かりの乙女たち
2.Heilagbròt
お守り
3.Kravsmannen
創造主
4.I Skodda
霧の中
5.Veslemøy sjuk
ヴェズレモイの病気
6.Snøstorm
雪嵐
7.Draken
ドラゴン
8.Hjelpi
救済
Det vaarar (春だ)
1. Mot Soleglad
夕日に
2. Vaardag
春の日に
( 2007.06.09 藤井宏行 )