Ja vam ne nravljus’ Op.63-3 6 Romansov na stikhi K. R |
わたしはあなたを満足させはしないの ロマノフ公の詩による6つの歌曲 |
Ja vam ne nravljus’... Vy ljubili lish’ druzhbu - ne ljubov’ moju; moi nadezhdy vy sgubili,- i vse - taki ja vas ljublju! Kogda zhe posle kak-nibud’ pojmete vy moi muchen’ja i nezametno v vashu grud’ proniknet kaplja sozhalen’ja,- to budet pozdno... Rastsvetajut lish’ raz vesennie tsvety; uzh serdtsa vnov’ ne prilaskajut perestradavshie mechty. |
わたしはあなたを満足させはしない、あなたが弄んでいたのは 友達としての関係 ―わたしの愛ではなかったんだ あなたはわたしの望みを打ち砕いてしまった それでもわたしはあなたを愛しているのです いつかあなたにもその時がくるでしょう わたしのこの苦しみがわかる時が そしてあなたの心に少しでも 後悔の気持ちが湧き上がるかもしれません でもそれではもう遅いわ、満開の時は たった一度だけなの 春の花にとっては もう心は二度と癒されることはないのだから 枯れてしまった夢では |
こいつもまた中学生の恋愛ごっこのようなノリの詞です。恋人じゃなくて友達のままでいましょっ ていうようなシチュエーションはジュニア小説やマンガなどではよくありがち。そして「あとで後悔したって遅いのさっ」ていう捨て台詞が出てくるところまでソックリです。メロディがたいへんに地味なこともあってか、ロマノフ公の詩によるロマンスOp.63の6曲の中でもあまり歌われない曲ですし私も今まで全く印象に残っていなかったのですが、こうやって詞を読み込んでから改めて聴いてみるとなかなか面白いです。
とは言いながら現在聴くことのできる録音といえばNaxosより出ているチャイコフスキー歌曲全集のVol.3、
リューバ・カザルノフスカヤ(Ljuba Kazarnovskaya)のソプラノにリューバ・オレフェノヴァ(Ljuba Orefenova)のピアノ伴奏くらい。これはOp.63を6曲全部聴けるのが嬉しいところでしょうか。
ロシアの歌手にしては声が明るめの人ですので、チャイコフスキーにもっと濃密なものを求める人には向かないかも知れませんが、このOp.63のような歌曲スタイルには私は非常によく合っていると思いました。
Naxosの歌曲全集、残念なことにVol.3まででリリースが止まっています。あとCD2枚分くらいの主に男声向きの歌曲が残っていますので、早期のリリースに期待したいところです。世の中を見渡した限りで「チャイコフスキー歌曲全集」なんて録音は他になさそうなのですから...
(かつてRussian Discで第1集の録音を見かけたことがありましたがこれもあとが続かなかったよう。全集を作るのが鬼門の作品群なのでしょうか?)
(2007.05.26)
こちらもまた、第1曲同様に女性が主人公のようですので訳詞を見直しました。なんとなく情念がより濃くなったように感じるのは偏見でしょうか...
( 2007.08.04 藤井宏行 )