Usni,pechal’nyj drug Op.47-4 7 Romansov |
眠れよ、悲しげな友よ 7つのロマンス |
Usni,pechal’nyj drug,uzhe s grjadushchej t’moj vechernij alyj svet slivaetsja vse bole, blejashchie stada vernulisja domoj, i uleglasja pyl’ na opustelom pole. Da snidet angel sna,prekrasen i krylat, i da pereneset tebja on v zhizn’ inuju! Izdavna byl on mne v pechali drug i brat, usni,moe ditja,k nemu ja ne revnuju. Na rany serdtsa on zabvenie prol’et, pytlivuju tosku ot razuma otnimet, i s gorestnoj dushi na nej lezhashchij gnet do novogo utra nezrimo pripodnimet. Tomimaja ves’ den’ dushevnoju bor’boj, ot vzorov i rechej vrazhdebnykh ty ustala. Usni,moe ditja,mezh nimi i toboj on blagostnoj rukoj opustit pokryvalo. |
眠れよ、悲しげな友よ、もう夜の闇が 夕暮れの赤い光と入れ替わろうとしている 鳥の群れは鳴きながらねぐらへ帰り 誰もいない野原の霧は静まりかえる 眠りの天使は、輝かしく、そして翼を持って きみを別の世界へと誘うだろう! 遠い遠い昔から、彼は私の悲しみの友だった 眠れよ、悲しげな友よ、私は彼を羨みはしない 心の傷を彼は癒してくれるのだ そしてきみの古びた理性から憂鬱を取り去り 絶え間なく続く苦しみでやつれ果てた心を また爽やかな新しい朝へといざなうのだ 昼の絶え間なきいさかいや つらい光景や残酷な言葉できみは疲れている 眠れよ、悲しげな友よ、彼ときみの間を 優しい手が包んでくれるのだから |
アレクセイ・トルストイの詩によるなかなか素敵な子守歌です。とはいえここで「友よ」と呼びかけているのはもちろん恋人のことですね。傑作揃いのOp.47の中ではあまり知られていない曲ですが、穏やかな表情と流れるようなメロディにロシア語の響きが溶け合ってたいへん味わい深い歌のように私は思います。
「心の傷を」の節では歌にも力が入りちょっとだけ盛り上がりますけれども、全体としては恋人の眠りを誘うようにひたすら優しく歌われます。
ヴィシネフスカヤがロストロポーヴィチのピアノ伴奏で入れたEMIのチャイコフスキー歌曲集にこの曲も収録されていますが、ここでのやわらかいロシア語の響きはさすが。時にドラマを作るあまりに激しい声で曲を引っ掻き回す彼女ですが、ここでは本当に眠りに付く友をやさしく慰めるかのような歌声で淡々と曲を紡ぎだしています。さすが大歌手といったところでしょうか。
( 2007.05.19 藤井宏行 )